iPhone 16eでアップル製モデムを搭載した意味 垂直統合で大幅な省電力化を実現、進化の余地も拡げる

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これまでアップルは、無線モデムの部分にはクアルコムの部品を調達してきた。しかし、自社モデムを組み込むことにより、A18チップなど端末のメインプロセッサと緊密に連携した電力管理を行え、また状況に応じた積極的なサービスオフロードが可能になる。

アップルが主張する“従来型モデムに比べ25%の消費電力削減”という省電力性能向上は、端末のバッテリ持続時間として製品の競争力につながっている一例だ。OSやファームウェアまで含めた“垂直統合”によって、より細やかな制御が実現できるわけだ。

iPhone 16e向けに設計されたC1はGPSや衛星通信などの機能を統合しているが、将来的にはミリ波やUWBを含めた多様なワイヤレス技術を積極的に取り込むことが見込まれる(一部にC1はミリ波に対応していないとする声もあるが“iPhone 16eが未対応”が正しい)。

ハードウェアとソフトウェアの両面でアップルがコントロールできる領域が増えれば、今後の発展性における自由度が高まるだけではなく、iPhone以外の製品も含めた同社のエコシステム全体に波及するメリットが大きい。

iPhone 16eの発売後は、モデムのパフォーマンスに関心が集まるだろう(写真:アップル)

無線まわりを統合管理することで効率化

さて将来の可能性はともかく、25%とされる省電力化はどのように実現したのか。

1つには最先端の半導体技術採用に挑戦したことが挙げられる。

Apple C1はベースバンドチップに4nm、アナログ回路が中心のRFトランシーバにも7nmの製造プロセスを導入している。ベースバンドチップの4nmも、メインのSoCであるA18が採用する3nmに近いものだ、アナログ回路への7nm適用は業界でも初の試みだ。

また、ベースバンドの信号処理部分とは異なるチップにすることで、それぞれに先端プロセスを採用し、省電力性と信号処理能力の両立を図り、それぞれに最適化な微細化技術を用いることができている。

アナログ回路のRFトランシーバが微細化したことが大きく省電力化に貢献していることは間違いないが、全体の省電力化を支えているのはプロセス技術だけではない。

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