iPhone 16eでアップル製モデムを搭載した意味 垂直統合で大幅な省電力化を実現、進化の余地も拡げる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

A18チップをはじめとする端末全体との協調動作が可能になるよう、あらかじめ両チップが設計されており、OS・ファームウェアによる電力制御の最適化を行えるようになるからだ。必要に応じて処理をオフロードし、無駄な電力を消費しないよう制御が行われる。

このような“縦横無尽な連携”は、半導体レベルから協調できる設計にはできないサードパーティ製モデムでは難しい。ハードウェア、ソフトウェア、半導体のすべてを自社で設計できるアップルならではの強みだ。

グローバルでの互換性は万全なのか?

通信モデムではクアルコムが圧倒的に強く、アップルもさまざまな経緯からクアルコムから購入してきた。その一方で何年にもわたって自社モデムの開発も進めてきた。2018年、クアルコムとの係争で自社モデム開発への意欲が表向きになり、2019年にはインテルのモデム部門を買収、そのノウハウを取り込む形で研究開発を加速させた経緯がある。

とはいえ、世界中のさまざまなネットワークとの接続性やパフォーマンスに疑問符がつくのは致し方ないことだろう。何しろC1はアップルにとって最初の無線モデムだ。

iPhone 16eへのC1搭載で、世界中のネットワークに一気に接続されていくことになるが、同社はすでに180以上のキャリアが運営するネットワークでテストし、55カ国以上で互換性を確認済みだ。

MacのCPUをインテルから自社開発のMシリーズへ切り替えたときと同様、周到な準備を経てローンチしたものと見られる。

仮に問題が発生した場合でも、アップルがソフトウェアからハードウェアまで自社内で対処できるのは利点だ。端末のあらゆるレイヤーを把握しているからこそ、柔軟なアップデートや改修でスピーディに対応できる。

このことは、トラブルリスクを抑えられるだけでない。最終的にユーザーの手元に届く製品単位での最適化を行うことで、製品体験をより良い方向へ引き上げられる。

C1はまだ第1世代のモデムシステムにすぎない。今後、ミリ波やUWBといった帯域の通信機能をC1へ追加していくだろう。将来的にはWi-FiやBluetoothも含めた、より包括的なワイヤレス通信のプラットフォームになっていくだろう。噂ではC2と呼ばれるだろう、第2世代のワイヤレス通信システム開発を行っているとの声も聞こえてくる。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事