認知症予防効果が期待される「ダイエット薬」 認知症、呼吸器、循環器病を予防する効果も?

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厚生労働省が実施しているメタボ健診は、皆さん受診経験があるはずだ。正確には特定健診との名称で、生活習慣病の予防のために、対象者(40歳~74歳)の人にメタボリックシンドロームに着目した健診がおこなわれる。多くの方が腹囲を測られた経験をお持ちのはずだ。そこでリスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が期待できる方に対して、特定保健指導として専門スタッフ(保健師、管理栄養士など)が生活習慣を見直すサポートをするものだ。具体的には、食事指導や運動指導がおこなわれる。

2022年6月に厚労省が発表した「特定検診・特定保護指導の効果検証」によると、特定保健指導により、女性では体重が1.04kg減少し、LDLコレステロールの値が1.44mg/dL低下し、男性ではそれぞれ 0.87kg、5.08mg/dL減少したにすぎない。この減量効果をもって、特定保健指導が有効であると捉える方はどの程度おられるだろうか?

ほとんどの人にとって、自力でのダイエットは難しく、とくに50歳以上の更年期では一層困難となる。

ダイエットで呼吸器疾患が改善する原理

内臓脂肪が多いことによりさまざまな疾病を引き起こしている方には、私はGLP-1作動薬を使って減量する治療を行っている。GLP-1作動薬によって体重が減ると、脂肪肝の数値がどんどん改善されることはしばしば経験する。

脂肪肝は今や肝細胞がんの最大のリスクであり、これが改善できることは意義深い。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんでは、内臓脂肪が減ってお腹が凹んだため、深く呼吸ができるようになったという方もいる。体重が減ることで心肺への負荷が減り、労作時の息切れも改善した。

患者さんからよく言われるのは、「どの程度の食事量であれば減量、体重が維持できるのかがよくわかった」ということだ。食事を減らせ減らせ、と言われてもどの程度減らしたらいいのかわからなかったが、GLP-1作動薬で治療することで自然と食事の量が減り、理解が深まったとのことだ。もちろん、治療中止後には体重が再び増加するリバウンドを起こす人も少なからずいることは事実だ。ただし体重を維持できる人も少なからずいることを付け加えておこう。

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