大谷"二刀流復活"で見えてきた「前人未踏の数字」 「ケガさえしなければMVP」との呼び声も高いが
柳原直之(以下、柳原) ケガをした瞬間はスタジアム全体がシーンと静まり返り、大谷選手が引き揚げる様子を球場全体が食い入るように見つめていた。ある意味、異様な光景でしたね。
現場にいた僕らは最初、ケガをした箇所がわからず、手首じゃないかなどとみんなで話していました。ところが、二塁ベースに設置されていたマイクが大谷選手の「肩っすね」という声を拾ったようで、日本のメディアからその情報が回ってきたんです。
翌日はニューヨークへの移動日。果たして大谷選手は遠征に来るのか来ないのか、予定はどうなっているのかがまったくわからず、とりあえずニューヨークへ移動しなきゃと。取材を重ねるうちに、「これは試合に出る気だ」ということがわかりました。
村田 ケガをしても出場し続けた理由について、スポーツ誌「Number」のインタビューで話していました。
「相手チームのブルペンに控えている左投手を僕のところで出してもらえれば意味がある。打っても打てなくても、次の右打者のベッツ選手やテオスカー選手へつなぐ。そうすれば、相手のブルペンが苦しくなる。左を1枚使わせることで、戦況を有利にできる」というような内容です。
自分が出たいということだけではなく、チームに自分がどうしたら貢献できるかを、徹底的に考えていたことを知りました。
ドジャースが考える「二刀流」運用法
村田 ドジャースは今年、どういう形式でツーウェイプレーヤーの運用をしていくのかが注目されます。
エンゼルス時代のように、リアル二刀流を含めた投手・打者の両方を全試合に近いかたちで出場させるのか、それとも多少の休養を挟みながらコンディション管理をして起用していくのか。シーズンが始まってみないとわからないところではありますが。
小谷 大谷選手は二刀流に関して問題なくやれると思います。左肩を脱臼したことで投手としてのリハビリは確かにストップしたでしょうけれど、脱臼の手術は予防も含めてしっかり治すための手段。
外れたまま手術しないでおくと脱臼が癖になってしまう人もいたので、逆に手術をしたことで心配はなくなったはずです。
長きにわたって二刀流をやってもらうことは球団の方針ですから、ドジャースも慎重にリハビリのプランを進めるとは思います。