フジテレビ、売上高でついに4位に転落するか 三冠王を争ってきた日テレに突き放されたワケ
フジテレビも、まず第3四半期までの伸び率を前年度通期の売上高に掛けた数字を出し、そこから233億円を引くやり方で計算してみた。
するとフジテレビの売上高は2187億円、2位からさらに落ちて4位になる。あくまでシミュレーションだが、233億円がどれだけ痛手かがわかる。各局の数字はぶれるかもしれないが、フジテレビ4位転落は間違いないだろう。
グラフを見ると、2015年度に1位から転落してから売上減少が続いた末の、ダメ押しとなっている。崖っぷちに追い込まれた末に、誤った判断で崖から突き落とされた形だ。
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何の戦略も練ろうとしなかった経営陣
崖から落ちたことについては、港浩一氏と嘉納修治氏が社長、会長を辞任して責任を取った。また第三者委員会で調査が進めば、他の取締役たちも何らかの責任が問われるかもしれない。では1位から4位まで坂を転がり落ちた責任は誰がどう取るのだろうか。
キー局トップの座に君臨してきたフジテレビが転落したのは、何の戦略も練ろうとしなかった経営陣の責任だ。では逆に、日本テレビがフジテレビを凌駕し、断然トップの座を獲得した背景には、どんな戦略があったのだろうか。
日本テレビとフジテレビは長年、三冠王の座を争ってきた。三冠王とは全日(6〜24時)、ゴールデンタイム(19〜22時)、プライムタイム(19〜23時)の3つの時間帯すべてで視聴率トップを取ることだ。1982年から1993年まではフジテレビ、1994年から2003年までは日本テレビ、2004年から2010年まではフジテレビが三冠王を獲得した。
ところが日本テレビは1994年から三冠王の座についてもフジテレビに売上高で追いつけなかった。その理由を分析すると、フジテレビの番組はF1(20〜34歳女性)に代表される若者に多く見られていた。逆に日本テレビの番組は高齢の視聴者が多かった。
広告主の多くは若者向けの商品のためにCMを出稿する傾向があるため、フジテレビのCM枠は高く販売できていた。視聴率1%あたりの価格が日本テレビは低かったことがわかった。
そこで日本テレビは2004年に「コア視聴率」を設定。13〜49歳の視聴率を戦略目標にし、その層に向けた番組作りをはじめた。若い女性に強いフジテレビに対し、ファミリー層に狙いを定めたのだ。コツコツと編成を変えて番組を改造し、目標に近づけていった。
その努力が実って視聴率全体も高まり、ついに2011年、三冠王を奪い返すことに成功した。視聴率の中身は、これまでの高齢層中心からファミリー層に入れ替わっていた。「世界の果てまでイッテQ!」が典型だが、流行の先端ではなくても毎回家族で楽しく視聴できる番組に全体的に変貌していた。
だから日本テレビの番組は核がしっかりした安定感を保っている。一度気に入ると毎週見てしまう習慣性がある。
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