「小1の壁」と「小3の壁」をどう乗り越えるか 子どもの放課後から消えた3つの「間」とは?

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窪田:そんなに! 学童利用者が増えているのは知っていましたが、まさかそれほどとは……。

平岩:そうしたニーズの増加に学童施設の数は足りず、待機児童が高止まりしている状態です。一時期、保育園の待機児童が問題になりましたが、2017年をピークに減少傾向に。一方で、学童はより深刻な状況に陥っています。待機児童というと保育園固有の課題だと思われており、まだまだ社会の認識が追いついていないんです。

その結果、問題になっているのが「小1の壁」と「小3の壁」です。

窪田:共働き世帯で、仕事と家庭の両立が難しくなる時期のことですね。

平岩:はい。保育園では夕方・夜まで子どもを預かってもらえますが、小学校になれば学校は14時過ぎに終わってしまいます。親が帰宅するまでの時間をどうするかが問題になって、仕事と家庭の両立が困難になるのが「小1の壁」です。学童保育に入れない状況もありますし、入れても小2くらいまでしか通えないことがあり、それが「小3の壁」となって働く親御さんたちの前に立ちふさがっています。以前は小3まで学童に通って「小4の壁」と言われていましたが、最近1年下がって「小3の壁」になったと言われるのです。

窪田:悩んでいるご家庭は本当に多いと感じます。

平岩:学童保育に通えなかったり、地域で子どもの居場所がなかったりするので、子どもたちの多くが習い事や学習塾に通うことも多くあります。また、ビジネスとして民間の学童保育施設も出てきているとはいえ、そうした施設では1人につき月間で10万円近くかかる高額なところもあるので、利用するのも簡単ではありません。

平岩国泰/東京都出身。1996年慶応義塾大学経済学部卒業。株式会社丸井入社。長女の誕生をきっかけに、子どもたちの世界を豊かにすることに人生をかけ、放課後NPOアフタースクールを起業。これまでに21校のアフタースクールを開校。2019年新渡戸文化学園理事長就任。2017年より渋谷区教育委員、2023年より教育長職務代理就任。学校-放課後-教育委員会の三刀流で幅広いフィールドで教育に関わる稀有な存在。2019年『「自己肯定感」育成入門』出版。2児の父(写真:平岩氏提供)

窪田:そこまでしなければ子どもを預けられないのが実情なんですね。

平岩:子どもの居場所を確保するのにもお金がかかる社会だと、当然、親の収入による体験格差が生まれます。収入が高い家の子どもはスポーツや芸術や自然などに触れ合うことができますが、そうでなければ体験できない。その格差が、新たな社会問題となっています。

放課後に学校施設を使わないのはもったいない

窪田:それらの問題を解消するために、放課後NPOではどんな活動をしているのですか?

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