「管理職候補」から女を閉め出す、3つの要素 本来は、女性こそ管理職に「向いている」!

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加えて説明すると「正規社員」かつ「総合職」であれば誰でも管理職に登用されるわけではありません。管理職登用において、ある意味、もっとも重要となるのが「昇進意欲」という要素ですが、総合職で働く人のうち「昇進意欲がある人」は、男性74%に対し、女性はわずか27%です(「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査結果」独立行政法人労働政策研究・研修機構2013年3月より弊社が算出)。

結果、「正規社員」「総合職」「昇進意欲あり」という、管理職に登用されるために必要な3つの要素を満たした人を抽出すると、その中で女性の割合はわずか7%程度まで減ってしまっているわけです。

ちなみに同じ年のデータで、現実の管理職に占める女性比率は11%。そういう意味では「管理職になる3条件を満たした人から管理職に登用される率」は、女性の方が男性より高いととらえることができます。

つまり、すべてのネックは管理職に必要な3条件。これを満たしさえすれば、女性は男性よりも管理職になりやすいのです。そして裏を返せば、そもそもの管理職に必要な3つの条件を満たす母集団の中に、女性が少なすぎることが問題なのです。

2020年、このままでは何も変わらない

政府の目標は「2020年までに女性管理職率30%」です。当たり前のことですが、そもそもの管理職候補に占める女性比率が7%のままでは、そんなもの達成できるわけがありません。

日本企業で女性管理職率を増やしていくためには、まずは女性を「正規社員」かつ「総合職」として採用していく必要があります。平行して、すでに採用している女性たちの「昇進意欲あり」を男性並みに増やすことにより、女性の管理職が増える可能性が生まれるのではないでしょうか。

次回以降、女性になぜ「昇進意欲のある人が少ない」のか、その理由と、具体的な解決方法について述べていきます。お楽しみに!

清水 レナ 女性活躍推進コンサルタント

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しみず れな / Rena Shimizu

女性活躍推進コンサルタント。株式会社CHANCE for ONE代表取締役社長。

1973年生まれ。立命館大学在学中に「女子就職問題研究プロジェクト(現・キャリアデザインプロジェクト)」の立ち上げメンバーとして、企業人事部や働く女性たちへのインタビュー調査、女子大生の意識調査などを行う。また、女子大生代表として京都市男女共同参画会議に参加し、4年時には女子大生の就職奮戦記を共著にて出版。「就職氷河期を乗り越える女子大生」として数多くのメディアに取り上げられる。会社員になった後も、女性のキャリア支援や講演活動などをライフワークとして20年以上継続、延べ数万人に対して実施してきた。2010年に独立しコンサルティング事務所設立。大学非常勤講師としての活動も開始。2012年には「自律した女性が活躍できる社会を創る」を理念とした株式会社CHANCE for ONEを設立。

現在は法人向けに、女性活躍の調査、分析、施策立案などのコンサルティング、経営へのアドバイス、女性管理職トレーニング、中間管理職向け部下育成研修、女性活躍に関する講演など、女性活躍推進に関するサービスをワンストップで提供している。主な取引先は、大手メーカー、大手建設会社、大手小売業などの上場企業や大学法人など。立命館大学や共立女子大学などでは講師を務めている。著書に『輝く会社のための女性活躍推進ハンドブック』(ディスカヴァー)がある。

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