「管理職候補」から女を閉め出す、3つの要素 本来は、女性こそ管理職に「向いている」!

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もともと女性は、(子育て経験者に限らず)人の世話をする経験のある人が多く、それを得意とする人も大勢います。その過程で相手の強みを見つける、細かい違いに気づいて個別に対応する、というコミュニケーション能力に長けている人も多いので、実は女性は「管理職に必要なスキルを備えている人が多い」と言えるのではないでしょうか。

「自分が指導をうけた男性上司たちのように、強いリーダーシップでチームを引っ張ることは真似できない……」と、管理職になることに不安を抱えている女性社員の皆さん、安心してください。面倒見のよさや、コミュニケーション能力の高さなど、自分の得意なことを生かして管理職の仕事に取り組めばいいのです。

しかしながら、日本の女性管理職はなかなか増えてこないという現状は見過ごせません。それはいったい、なぜなのか……。いくつかのデータを紐解いてみると、実はすぐに合点がいくのです。

「母集団」からどんどん減っていく女性社員

まずは労働人口の大枠から。日本の女性の25〜54歳の就業率は、2014年時点で約70.8%です(「雇用アウトルック2014」(OECD)より引用)。この数字は、他国から大きく遅れをとっているわけではありません。

また、就業者全体に占める女性の割合も42.8%であり、男女平等性が高いジェンダーギャップ指数上位国のフランス47.9%、スウェーデン47.6%、ノルウェー47.3%などと比較しても、その差はごくわずかです。

一方で、日本の女性管理職率は11.2%と、欧米諸国の平均30〜40%と比較しても、やはり極端に低い水準です(「データブック国際労働比較2015」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)より引用)。日本は、女性の就業率においては、諸外国との差がわずかにもかかわらず、なぜ、女性の管理職率が極端に低いのでしょうか?

そのカラクリは、「雇用形態」を細かく見ると一目瞭然です。

一般的に、日本企業で管理職に登用されるためには「正規社員」であることが必要です。先ほど、就業者全体に占める女性の割合は42.8%であると述べましたが、雇用形態が「正規社員」の人だけを抽出してみると、女性の割合は31%に縮小。つまりこの時点で、管理職候補になりうる母集団から女性がぐっと減るのです。

さらに日本の多くの企業の場合、管理職に登用されるためには「正規社員」かつ「総合職」であることが必要。就労者のうち、雇用形態が「正規社員」かつ「総合職」の人を抽出すると、女性の割合は18%になります。

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