日産「AD」生産終了で噂されるリストラの真実 プロボックスのライバル、40年以上の歴史に幕

以上のように、多少の統廃合を繰り返しながら、乗用のステーションワゴンとともに生産が続けられたのがADであった。そして、乗用のワゴンの生産が終わったことで、商用としての終わりが検討されたといえるだろう。
乗用も商用も、より背の高い車種による、快適空間や荷物の積み下ろしの容易な形態が、家庭でも業務でも好まれるようになったということだ。まさに時代の転換、価値観の変貌といえるのではないか。

トヨタも、かつてプロボックスと兄弟車となる、「サクシード」という別車種を設けていた。「クラウン」などを売る販売店系列の違いにより、サクシードはやや上級の位置づけでもあった。しかし今は、トヨタの販売店が統一され、どこの店でも同じクルマを買えるようになり、プロボックスに絞られている。
背の高い商用としてのキャラバンやバネットは、近年、出先で快適に過ごせるような「MYROOM(マイルーム)」と呼ぶ仕様を売り出している。天井が高く、広い空間を生かし、快適に眠ったり過ごしたりできるように仕立てた車種だ。業務用としてだけでなく、個人での利用へも幅を広げた特別仕様だ。
商用車でも電動化の流れ


軽商用では、ワゴン型の「クリッパー」に電気自動車(EV)の選択肢がある。これは、三菱自動車工業の「ミニキャブ」を活用しているため、エンジン車だけでなくEVもそろえられているのである。EVという視点に立てば、乗用の「リーフ」や「アリア」、そして軽乗用の「サクラ」とともに、商用でもクリッパーのEVを日産は持つことで、国内では有数のEVメーカーにもなっている。
EV時代が幕を開けたことを含め、時代の変遷の中で、商用バンとしてのADの生産も終わることになったというのが、その実態ではないだろうか。
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