日産「AD」生産終了で噂されるリストラの真実 プロボックスのライバル、40年以上の歴史に幕

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ADバンの室内
ADバンの室内(写真:日産自動車)

以上のように、多少の統廃合を繰り返しながら、乗用のステーションワゴンとともに生産が続けられたのがADであった。そして、乗用のワゴンの生産が終わったことで、商用としての終わりが検討されたといえるだろう。

乗用も商用も、より背の高い車種による、快適空間や荷物の積み下ろしの容易な形態が、家庭でも業務でも好まれるようになったということだ。まさに時代の転換、価値観の変貌といえるのではないか。

ADバンのライバルになるトヨタのプロボックス
ADバンのライバルになるトヨタのプロボックス(写真:トヨタ自動車)

トヨタも、かつてプロボックスと兄弟車となる、「サクシード」という別車種を設けていた。「クラウン」などを売る販売店系列の違いにより、サクシードはやや上級の位置づけでもあった。しかし今は、トヨタの販売店が統一され、どこの店でも同じクルマを買えるようになり、プロボックスに絞られている。

背の高い商用としてのキャラバンやバネットは、近年、出先で快適に過ごせるような「MYROOM(マイルーム)」と呼ぶ仕様を売り出している。天井が高く、広い空間を生かし、快適に眠ったり過ごしたりできるように仕立てた車種だ。業務用としてだけでなく、個人での利用へも幅を広げた特別仕様だ。

商用車でも電動化の流れ

2024年に発売された軽商用EVバンの日産「クリッパーEV」(写真:日産自動車)
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軽商用では、ワゴン型の「クリッパー」に電気自動車(EV)の選択肢がある。これは、三菱自動車工業の「ミニキャブ」を活用しているため、エンジン車だけでなくEVもそろえられているのである。EVという視点に立てば、乗用の「リーフ」や「アリア」、そして軽乗用の「サクラ」とともに、商用でもクリッパーのEVを日産は持つことで、国内では有数のEVメーカーにもなっている。

EV時代が幕を開けたことを含め、時代の変遷の中で、商用バンとしてのADの生産も終わることになったというのが、その実態ではないだろうか。

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御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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