放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響 ユーリ・バンダジェフスキー著/久保田護訳
福島第一原発事故を踏まえて福島県が実施している「県民健康管理調査」。その一環として行われている健康診査の資料の中に、次のような記述がある。
「原発事故による放射能の健康影響についてはきわめて少ないと考えられます」「チェルノブイリ原発事故で唯一明らかにされたのは、放射性ヨウ素の内部被曝による小児の甲状腺がんの増加のみであり、その他の疾病の増加については認められていません」
本書はこうした指摘とは真っ向から異なる結論を突き付けている。
著者はベラルーシのゴメリ医科大学学長(当時)として10年にわたり汚染地域住民への放射線被曝の研究に従事。死亡した子どもや成人の病理解剖を通じて、放射性セシウムが体内に取り込まれた住民の間で心臓や腎臓、肝臓に病変および機能異常が多く見られるとともに、免疫、生殖機能にも異常が多いことを明らかにした。放射能問題を考えるうえで注目の書だ。
合同出版 1890円
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら