この世で一番おもしろいミクロ経済学 ヨラム・バウマン著/山形浩生訳
マンガで簡単に説明し切れるほど経済学は甘くはないが、若い世代にとっては関心や理解のトバ口としての効用もありえよう。類書はトピカルな経済問題をマンガで解説する手のものがほとんどだったけれど、本書はミクロ経済学に直截に切り込んでみせた。単なる図解でなく、テーマごとに登場人物を設定してショートストーリー風に仕立てたところが特徴である。
個人、数人(相互関係)、市場という三つのパートで最適化が共通テーマとなるが、特に第二のパートでゲームの理論を主題にパレート効率性、囚人のジレンマ、オークションなどが重点的に説明される。需要供給曲線、限界効用、価格弾力性など教科書なら冒頭解説が普通の用語は、市場として最後に出てくるのでそれまでの章が生きてくる構成だ。行動経済学や情報の非対称性など新しめのテーマもさわりだけだが登場する。マンガはギャグ的な部分も多くいかにも米国的だがそれなりに楽しめる。(純)
ダイヤモンド社 1575円
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