「低パフォーマンス社員」解雇が日本で難しい現実 米IT企業がリストラも日米の人事評価に違い
実際にその企業で調査してみると、売り上げは低いものの、部下の育成に熱心な50代の課長がいた。メンバーからの信頼も厚く、離職率の低さに貢献していた。この課長は「低パフォーマンス」なのだろうか。
また、ある企業の情報システム部門に、効率の悪い仕事のやり方をしているエンジニアがいた。しかし、そのエンジニアは研究熱心だった。2~3年に1度、誰も考えつかないような事業アイデアを出してきた。
だから部門長は「日ごろの成果だけで評価したくない。当社に不可欠な人材だ」と絶大な信頼を寄せている。
短期的な成果、貢献が見られないことを「低パフォーマンス」というレッテルで切り捨てていいのか。難しい判断だが、一面的な評価は組織の活力を奪うことにもなりかねないと私は思う。
単純なモノサシで測れるものではない
「50代以上の従業員を対象に、希望退職を促す」
このような発想も、「エイジハラスメント」と受け止められる時代になった。中年男性を侮辱する表現(たとえば「働かないおじさん」といった表現)も、使うべきでないという風潮になってきている。
当然「低パフォーマンス社員」という表現も同じだ。成果や年齢といった、分かりやすいパラメーター、基準で人材を線引きすべきではない。そんな単純なモノサシで測れるものではないのだ、人材というものは。
日本企業は日本企業なりの、バランスの取れた評価制度をこれまでに築いてきた。人員削減するにしても、正しい評価制度を運用し、そのうえで決断すべきである(そもそも評価制度が正しく運用されていれば、人員削減しなければならない事態にはならないと思うのだが)。
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