「会社員のスキル=企業のもの」が時代錯誤の訳 会社が提供した能力・スキルは…誰のもの?

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たとえば、終身雇用や年功序列が色濃く残る会社であれば、

「社員はなるべく辞めさせない。離職率は低ければ低いほどいい。できるだけ長い間、働いてもらいたい」

と考えるかもしれません。

・そのために、会社の人事部や事業部トップが強い権力を持って社員のキャリアを設計していく
・新卒一括採用で入社してきた社員には、集合研修を通じた基礎教育を行う
・そして、まずは誰もが立場的に平等に「上」に昇進できる可能性を整える
・そのなかで、昇進試験などの画一的なプロセスを経て、その会社固有のノリやきつい業務やパワハラめいたことにさえ耐えてきた「出世コースに乗った人」が、「上」に昇進していく
・他方、本社にポストがないジェネラリストは、子会社へ転籍するか、名ばかりの管理職になる
・また、強い人事権を持った会社は、 5年ほど育成した社員に対し、「君、そろそろいい機会だから、地方で修業してこようか」などと呼びかけ、個人のキャリアを「うまいこと」動かしていく

このような人事戦略においては、「人的資本=個人」が持つスキルや能力は、「会社がコストをかけて与えるもの」であり、会社が自由にコントロールできる「会社の持ちもの」であると認識される傾向にありました。

また、多くの企業カルチャーは、「上」に忠実に従い、自分の意見を積極的に言うことはない「上意下達」を是としたものでした。

「失われた30年」に入り「キャリア自律」の考え方

ところが、時代が平成に入り、「失われた30年」に入っていきます。

さらに令和に入ると、不安定な将来を憂慮するビジネスパーソンたちは、「キャリアは自分でつくるもの」といった「キャリア自律」の考え方を持つようになります。

そうなると、もはや「ひとつの会社に入れば人生安泰」とは、ほとんどの人が思わなくなります。

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