「会社員のスキル=企業のもの」が時代錯誤の訳 会社が提供した能力・スキルは…誰のもの?

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一方で、会社側も、この状況に鈍感というわけではありません。

「われわれが身分を長期間にわたって保障してあげているのだから、社員はコントロールされて当然」「われわれの考えどおりにスキルを身につけさせ、異動させることができる」といった考えは、とうに通用しなくなっている

それに気づいている人も少なくはないのですが、従業員個人が持つスキルやノウハウ、能力は「会社のもの」という前提で、人事・教育制度がずるずる運用されてきました。

また、 360度評価や1on1コーチングなどの新しい制度や方法論も導入されてきているものの、まだまだ「組織カルチャー」には旧態依然としたものが残っている、という企業も少なくないはずです。

はたして、このままでいいのでしょうか。

いま日本の経営は「昭和型の経営」から「人的資本経営」に変わるべきときを迎えています。

そこで重要になるのが「人的資本は『個人の持ちもの』である」という発想なのです。

会社は個人の能力を「借りる」立場にある

人材のスキルやノウハウを「会社のもの」とするのではなく、あくまでもそれらは「個人のもの」であるという考えにシフトせよ、というマインドシフトにはポイントがあります。

それは、個人のスキルやノウハウを会社は「借りる」立場にあるのだという認識を持つことです。

会社は個人の持ちものである人的資本を「借りる」立場で、人材の能力について、企業は「レンタルしている」つもりでいろ、というわけです。

ここはとくに大切なところなので、理解の補助線を引かせてください。

慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授であった高橋俊介氏は、人的資本経営に言及した講演のなかで、次のようにわかりやすく解説しています(日本の人事部「HRカンファレンス2023─春─」講演レポート「『人的資本経営』とは何をすることなのか」)。

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