大河「べらぼう」描く"性風俗メディア"何が凄い? "蔦重"が仕掛けた広告・マーケティングの中身

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べらぼう
横浜流星が演じる主人公の蔦屋重三郎(写真:大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」公式サイトより)

年始からスタートしたNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』が「江戸のメディア王」と呼ばれた蔦屋重三郎(以降、蔦重)の生涯をテーマにしたことが注目を集めている。

一般的に見ると、蔦重は無名と言ってもいい人物で、国民的ドラマの主役として取り上げられるのは珍しいことだ。

しかし、筆者としては、蔦重は現代日本において重要な人物であるし、彼が生きた江戸中後期も注目すべき時代だと考えており、本作には期待している。

蔦重は現代日本にもつながる大衆文化をプロデュースしたのみならず、筆者の専門である、広告・マーケティングにも深く関係している。加えて、この時代は非常に面白く、蔦重に関わる同時代の人物が行ったことは、現代から見ても非常に興味深いところがある。

1月12日放映の第2回「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』」では、「吉原細見」という案内本と、平賀源内というマルチな才能を持つ文化人が登場した。

「吉原細見」がベストセラーとなった必然

蔦重は、遊廓街である吉原の入口近くに書店を開業するが、そこで販売したのが「吉原細見」という、現代でいえば、吉原遊廓のガイドブック、あるいは情報誌のような出版物だった。

その歴史は古く、江戸時代初期の貞享年間(1684〜1688)頃にはすでに流通していたといい、春と秋の年2回刊行されていた。

吉原細見
蔦屋重三郎が版元の『吉原細見』冒頭にある、吉原の案内図。よく見ると、右ページ下の真ん中辺りに蔦重が拠点を置く「つたや次郎兵衛」の文字も(画像:国立国会図書館所蔵『吉原細見』、安永4年〈1775年〉刊、https://dl.ndl.go.jp/pid/2539485)
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