大河「べらぼう」描く"性風俗メディア"何が凄い? "蔦重"が仕掛けた広告・マーケティングの中身
これを蔦重が大胆にリニューアルしていくのだが、その内容についてはドラマで描かれていくのでここでは割愛する。
本書には、遊廓の場所や地図、遊女の源氏名、等級や揚げ代(料金)だけでなく、遊女の人気ランキング、イベントの開催日まで記載されていたという。まさに、現代の観光ガイドブックや風俗情報メディアをほうふつさせるような内容だ。
こうしたガイドブックが発達した背景には、江戸の人口構成と、吉原が置かれた状況がある。当時、すなわち18世紀半ばの江戸の人口は、100万人を超えていた。世界最多の人口を擁する都市だったとも言われている。
また、当時の吉原は約3000人もの遊女を擁していた。
多くの需要があり、それに応じた供給が存在した。さらに、需要側には多種多様な嗜好とニーズがある一方で、共有側のサービスの質は標準化されていない。需要側と供給側の情報のマッチングへのニーズが必然的に生じてくる。
さらに、高額のサービスであるだけに利用者は失敗したくないから、事前に十分な情報を得ておきたいという強いニーズが生まれる。
「吉原細見」は江戸時代の隠れたベストセラー本、ロングセラー本といわれるが、そうなる必然性は十分にあったのだ。
古代からあった風俗店の広告
時代も場所も大きく変わるのだが、トルコのエフェソス遺跡の中に、有名な「風俗店の広告」が残っている。
エフェソス遺跡は、古代ローマ時代の都市遺跡だが、娼館が存在しており、その近くの路上の大理石には、娼館の広告といわれる絵が残されている。
偶然なのだが、筆者は、まさに今年の正月に現地を訪れていた。
やや見づらくて恐縮だが、左上にハートマーク、真ん中に足跡、その右に女性の顔、右下にお金のイラストが刻まれている。
このイラストは、「女性が心を込めてサービスするから、お金を持って来てね」ということを意味するといわれている。真ん中の足跡の意味するところは諸説あり、娼館の方向を示しているという説、足のサイズが足型より小さい人(子ども)は利用できないことを示しているという説がある。
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