大河「べらぼう」描く"性風俗メディア"何が凄い? "蔦重"が仕掛けた広告・マーケティングの中身

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なお、このエフェソスの絵図は「世界最古の広告」と形容されることもあるが、実際はそうではないようだ。娼婦に関しても、「世界最古の職業」と言われているが、これもどうも正しくはないようだ。

いずれにしても、娼婦は世界最古の職業の1つではあり、それに対する広告・宣伝活動が、古代から行われていたということは紛れもない事実である。

性欲というのは、いかに文明が進化しても、不変の人間の欲望であるが、その現れ方は時代によって変わってもくる。

性風俗が大衆化して、文化として洗練されて、それに付随するメディア、および広告・宣伝手法も発展したのが、蔦重が生きた江戸中後期であると筆者はとらえている。

べらぼう
今後、キーパーソンになってくるであろう平賀源内を安田顕が演じる(写真:大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」公式サイトより)

令和のメディア環境は江戸に近い?

江戸時代は、大衆文化は発達したが、現代的な意味でのマスメディアが存在していなかった。

では、いつからかといえば、明治時代に西洋文化が取り入れられ、活版印刷技術が発達することで、新聞や雑誌などのメディアも普及していった。時代は下り、第二次世界大戦後にテレビの本放送が開始し、テレビメディアが急速に拡大。マスメディアの普及と足並みを揃えて、マスマーケティングの手法も発展、浸透している。

しかしながら、2000年代前後から、デジタルメディアが台頭、普及していき、近年では、新聞の販売部数、テレビの視聴率は低下してきている。「マスメディアの時代」が終わりを迎えつつあるのだ。

筆者が江戸時代に注目すべきだと考えている理由の1つとして、令和時代のメディア環境は、時代を一巡して、近代(明治~昭和)よりも、むしろ江戸時代に近くなっているのではないかと思うからだ。

マスメディアに頼った情報伝達、広告・宣伝手法ではなく、多種多様なメディアや方法論を活用し、人々の興味・関心をとらえようという取り組みは、江戸中後期と現代に共通するものがある。さらにいえば、蔦重とその時代から、現代の日本人が学ぶべき点が多々あるとも考えている。

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