ニデックの"敵対的TOB"次は牧野フライスに触手 永守氏の野望は「世界一の工作機械メーカー」
その結果、旋盤や歯車加工機など、品ぞろえは充実した。一方、大手と比較すると足りないものがあった。超精密加工用の高性能なマシニングセンタ(MC)だ。技術的なハードルから、世界的に見ても造れる会社は限られる。牧野フライスを含む上位層は、主にこの分野でしのぎを削ってきた。
ニデックもMCを手がけるが、得意なのは汎用機とされる。一方、牧野フライスは精密金型や航空機部品などの加工に用いる超高性能機が強い。縦と横、高低のXYZ3軸に加えて斜めと回転の軸を持つ「5軸加工機」や、複数の加工機能を有する「複合加工機」も充実している。
こうしたハイエンド機種は近年、引き合いが急増している。複数の工程を集約して1台で完結できるため、製造現場の人手不足を解決できるからだ。
また牧野フライスは、ニデックが持たない放電加工機も得意とする。刃物でなく電気エネルギーで対象物を削る機械で、硬い素材などの加工に使われる。
ニデックは2030年の工作機械事業の売上高目標6000億円を掲げており、いずれも達成に向けて強化したい製品群だろう。
PBRは1倍割れが常態化
ただ業界内でのブランド力の割には、牧野フライスの株式市場での評価は芳しくなかった。時価総額は2024年12月26日時点で1929億円と、同3570億円のDMG森精機、同2183億円のオークマの後塵を拝していた。
ニデックはTOBの予告と同時に、牧野フライスの取締役会に宛てた「経営統合に関する意向表明書」を公表。その中で「PBR(株価純資産倍率)は0.84倍(2024年12月26日現在)となっており、資本市場で十分に評価を得られているとは言い難い」と指摘した。
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