意外と知らない「神の国」日本が変遷した深い経緯 大人のための日本の「そもそも学」

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その昔、日本では、神とつながれるとされた占い師や、神聖な儀式を行う人たちが重宝されていました。春は豊作を、夏は雨風の被害をおさめることを、秋は収穫を……。自然環境に左右されやすい農耕生活のため、神への祈りが重要だったからです。

そして、この大事な祈りの場が、現代でいう「お祭り」なのです。今でも多くの人が気軽に神社に行き、地域のお祭りに参加したり、見物したりします。神への祈りの儀式は、現在に至るまで脈々と受け継がれているわけです。 

このように、神道は私たちの日常生活と密接な関係を持っています。しかし、神道にはそれをつくり出した教祖もいませんし、キリスト教の『聖書』やイスラム教の『クルアーン』のような聖典もありません。こうした背景から「神道は宗教ではない」とさえ言われることすらあるのです。

紆余曲折の歴史

では、そもそもいつから神道が宗教と考えられるようになったのか? そこには、西暦538年に日本に入ってきた「仏教」が深く関わっていたようです。仏教に対応する概念として初めて、「神道」と名づけられたからです。

その後、神道はさまざまに展開していくことになります。当時は中国から膨大な量の書物が日本に渡ってきたことから、仏教だけでなく「道教」の影響も受けているといわれます。奈良時代からは「神仏習合」、つまり「神と仏はどちらも日本人の信仰の対象である」との考えが主流となり、日本では神社もお寺も同じように共存していたという歴史がありました。

大きな転換期が訪れたのは、200年以上にわたる鎖国が終わった19世紀後半のこと。欧米の文化や価値観に触れる中で、日本の政治家たちは「日本にも精神的な規範が必要だ」と考えました。そこで注目したのが、日本人の日常生活に深く浸透していた神道で、この神道の考えを広めるために「神社とお寺は別ものだ」と整理し始めたのです。

その上で、国が神社を管理しやすいように統合するなどして国家の支配下に置くことにしました。これがいわゆる「国家神道」の始まりでした。

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