インドでは「排泄行為」がとんでもなくカッコいい 日本人のようにコソコソトイレに行かない
頭が混乱してくる。あまりにも、生活がシンプルに過ぎるのだ。しかし、彼らはここにだいぶん長いこと(少なくとも10年以上)居住し、生活をしてきたのだ。もし世界最強のミニマリストを決める大会があるとするならば、間違いなくこの家の面々が優勝するはずだ。
とはいえ、彼らのライフスタイルが見え始めてくると、それは極めて合理的な計算に基づいていることがわかってきた。例えば、水道やシンクがなくて、どうやって食器を洗うのか、不思議でしょう?
水や洗剤がないなら「砂」で洗う!
彼らは油で汚れたステンレスの食器を家の脇に運び、サラサラの砂をゴシゴシとこすりつけ、汚れた砂をささっと払い落とす。2回ほど同じ動作を繰り返すと……なんということでしょう。食器がピカピカになって、油がしっかりと落ちているではありませんか!
食器用洗剤のCMよろしく、指で擦るとしっかりとキュッキュッとなるほど、油が落ちている。砂はきっと日中の直射日光で熱せられて殺菌消毒がされているだろうし、何より砂の粒はしっかりと油分を吸収し、食器からこそげ落とすのに便利なのだ。砂だけは破壊的な量を誇る世界だ。食器用洗剤には事欠かない。
料理の際に出た生ゴミや食べ残しは、そこらに放り出しておけば、野良犬や山羊や虫が集まってきて、数分後にはすっかりキレイになっている。ここでは自治体指定のゴミ袋も生ごみを分解するコンポストも必要ない。
彼らの手元に残るごくわずかなプラスティックゴミたちも、夜の焚き火であっという間に処理されてしまうし、僕が持ち込んだようなペットボトルは水の容器やトイレのお供として大変重宝されることになった。とにかく、無駄がないのだ。
水は? 水道がなくてどうやって生活するの? という読者の悲痛な叫びが聞こえる。この家から2キロほど離れた場所に井戸が存在するのだ。この水を、家の脇に無造作に置かれている水瓶というか素焼きのポットで汲みに行くのは、朝イチの女性たちの仕事だ。
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