インドでほぼ確でボラれる日本人「歩き方のクセ」 なぜ「騙しやすい奴」と思われてしまうのか

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僕の認識のはるかナナメ上で、この世界は躍動感を持ってグルグルと旋回し、手が届きそうで届かない。好奇心の裏で、僕はそんな消化不良感と膨満感と失望感に苛まれていた。

だが、僕なりにこの世界から学び取ったことがいくつかあった。それはまず、僕の「歩き方」から生まれた気づき。

歩き方を変えただけで騙されなくなった!

うつむき加減で歩幅を小さくし、辺りをキョロキョロ物色しながら歩く。すると、最も会いたくないタイプの、腹黒い下心のある人々を引きつけることになる。

旅人の身体技法が、「カモ」であるかないかの最大の判断材料になっているかのようだ。旅が始まった当初は、本当によく騙されたし、ボラれた。なんで僕ばかり狙われるんだろう? というのが、悩みの1つだった。

その後しばらく僕は、イスラエルからやってきた旅人たちを観察しながら、なぜ彼らには腹黒い奴らが寄ってこないのか、秘訣を探ろうと試みた。そして、その秘密のヴェールが剝がされた瞬間があった。歩き方が違うのだ! 

胸を張って、少しガニ股風に大きく歩幅をとる。首はキョロキョロ動かさず、進行方向に固定し、ときおりゆっくりとあたりを見渡す。これだ! と思って取り入れてみると……なんということでしょう! 腹黒い連中との接触が激減したではありませんか!

この小さな気づきは、後にとても興味深い問題意識として膨らんでいった。インドにおいては、他者を理解しようとする初期段階において、表面的な情報や「記号」がとてつもなく大きな意味を持つ。つまり初見でわかるさまざまなサインが、重要な意味を持っているのだ。

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