資さんうどん、「北九州のうまさ」で狙う列島制覇 創業者の死を越えて、うどん一杯に込めた本気
外食大手グループに参画し、全国展開を進める。順調な成長ストーリーにも見える資さんだが、実はほんの数年前まで苦難にあえいでいた。
試練となったのは、創業者の大西氏が2015年に亡くなったことだった。精神的な柱を失い、会社として何を大事にしていくのか、出店をどう進めるのかなど、社内の意見もバラバラになってしまった。
「一歩を踏み出す勇気がなくなっていた」――。ユニゾン・キャピタルの要請で就任した佐藤社長は、2018年当時をそう振り返る。当時の店舗数は36店で北九州に集中していた。規模拡大はおろか、新メニューの開発・提供サイクルも失われていた。今あるものを守ることに必死だった。
佐藤社長はソニーや外資系コンサル、ファーストリテイリングで経営変革や店舗運営などの経験を積んだ人物だ。資さんについてもユニクロ時代から知っていたという。
外食チェーンなのにバラバラ
佐藤社長が最初に取り組んだのは会社の軸を作ること。経営陣と多くの社員で議論を交わし「幸せを一杯に。」などの経営理念を定めた。
最大の課題は、外食チェーンの基本である店内作業の改革だった。当時は個店ごとに経営している状態で、調理や接客の方法はバラバラ。肝心の味も店長らの感覚で決めていた。
売り上げレポートは2カ月後に本部に届き、リアルタイムで業績を把握できなかった。「通常の飲食チェーンがやっていることがほぼできていなかった」(最高執行責任者<COO>の大井裕之氏)。
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