日大では、常任監事2人と学外監事2人の4人監事体制を敷いている。監事はその肩書どおり、不正を含めた大学運営を監視する。一般の企業でいえば監査役のような位置づけである。企業と同じように大学でも、常任監事が理事長や副理事長、常任理事長などの組織運営について物申す。が、学外監事はいわば企業の社外監査役のようなものだから、日常的に内部をチェックしているわけではない。
ところが、日大ではアメフト部の大麻事件の扱いをめぐり、その執行部体制が大きく様変わりした。理事長の林と副学長だった澤田康広が仲たがいし、蜜月とされた常務理事の和田秀樹まで詰め腹を切らされた。揚げ句、2023年末には日大プロパーの役員として林体制を支えてきた危機管理担当常務理事の村井一吉が一身上の都合を理由に辞任する。村井はのちに顧問として大学に復帰するが、その村井に代わり、篠塚が総務、人事、コンプライアンスを担う危機管理担当の常務理事に就いたのである。
文科省が期待する新体制の要
もともと篠塚に関しては、日大内部で林理事長の親衛隊とは見なされていなかった。むしろ林理事長の目付け役として文科省が送り込んだ人物とも目されてきた。それゆえ文科省はアメフト部事件後の新体制の要として期待しているともいわれる。そうして重量挙部の不祥事発表に舵を切ったという。
数ある日大運動部の中でも、重量挙部はアメフト部と同じく、私大屈指の名門だ。先にパリで開催された五輪・パラリンピックでも、日大出身の選手が日本代表に選ばれている。それだけに内外の衝撃は大きいのである。
その名門重量挙部ではあろうことか、監督が1年生の特待生に対し、本来、免除されるスポーツ特待生の入学金や授業料をだまし取ってきたというから驚いた。アメフト部の場合は部員の薬物事件だが、こちらは監督自らが優秀な部員から金銭をだまし取ってきたという横領あるいは詐欺の疑いを持たれているのである。
どちらが悪質か、と問われても軽々には判断できないが、ワンマン理事長の田中英壽が日大を去り、大学改革を標榜して林真理子が理事長に就任してはや2年あまり、旧態依然とした大学の利権体質は手つかずのままだ。
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