M-1歴代王者でもっとも"すごい漫才師"は誰か? ノンスタ石田×ギャロップ林の"同期対談"より
林:でも、2004年M-1の笑い飯さんって、ちょっとウケきらなかった年やと思う。
笑い飯さんって、Wボケスタイルで、「変われ変われ」って言いながら、ボケとツッコミを入れ替えていくスタイルやんか。でも、2004年は「変われ変われ」っていう言葉を省いた年やと思う。その一言がないと違和感があったんやろうね。「あ、これいるんやな」ってお客さんに気づかされた感じ。
それがすべてではないけど、やっぱり基本に忠実やねんな。たとえば哲夫さんが「人を指さすな」って、ゆっくりていねいに言うところとか、ほんま勉強させてもらったわ。
「老害」にならないために進化も発展も認める
石田:昔のM-1の話はずっとできるな。
俺は漫才の伝統を守りたいほうやからさ。このままいくと、老害になってしまうかもしれん。今のM-1に出てる漫才師でも、「これは漫才じゃない」って言おうと思えば言えるコンビはいっぱいいる。でも、それを言ってしまうと進化や発展を止めることになる。
伝統を守りつつも、進化や発展も大事やと思うねん。
俺の中には、巨人師匠の影響がすごくあるから、「これは漫才ちゃうな……」みたいな感覚がふと出てきてしまう。そういうのと折り合いつけながらやっていくしかないねん。
林:老害問題って、セクハラに似てると思う。誰が言うかで変わると思う。セクハラもそうでしょ。俺がやったらアウトやけど、石田がやったらセーフとか。
石田:いやいや、それでもアウトやろ。
林:いや、ものによっては絶対あるからな。
老害も同じで、たとえば今バリバリ漫才で戦ってるおっさんが言っても、老害っぽくならなかったりする。でも、全然新ネタも作らずに、ずっと同じネタだけで出てきて、これまでの貢献度で出番だけもらってる人が言ったら、めっちゃ老害感出るやん。
でも、毎年単独ライブやって、新ネタも下ろして、真剣にM-1をお金払って観てるような人なら、老害にはならへん気がする。「ほんま漫才好きですね」って思われると思う。