銀シャリ橋本、40過ぎて急にきた「働き方」への焦り 人生を人質にしすぎた結果、厚みのない人間に

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――仕事や人生についての価値観が大きく変化するタイミングは、以前にもあったのでしょうか?

2010年くらいに虫垂炎で、稽古中かなんかに倒れたことがありました。

運ばれた病院で、「散らせもしますし、手術もできますけど、どうします?」って聞かれて。散らしたらまたお腹痛くなるかもしれないし、ならないかもしれない。また痛くなるのは3日後かもしれないし、5年後かもしれない、いつかはわからない……と説明されました。

その時期って初めてM-1グランプリで決勝に残ったくらいの時でした。もしあと2年か3年後、「ダウンタウンDX」の収録前に爆発したら嫌やな、とか、何かの賞レースの前に爆発したらチャンスなくなるな、とか、そんなことがよぎって、すぐ「切ります」って言ったんですね。

僕、それまでの性格やったら絶対「散らします」っていうタイプなんですよ。手術は怖いからいったん事なかれ主義で、次爆発したときに対処すればいいや、みたいな。でもその時の脳は、もっと未来のチャンスを失うほうが嫌やと。この選択をしたときに、自分でびっくりしました。

で、その感覚のままずっと来すぎたんですよね。もったいない、もったいないの感覚で。でもそれだけ人生を人質にした結果、何か飛躍的に変わったわけではないやんかと。じゃあ、もうちょっと違うアプローチをしたほうがいいんじゃないかと、最近になって思い至ったということですね。

だから今はもう、あの時の「(盲腸を)すぐ切ります」と言えた自分ではなくなってます。というか、盲腸は切ったんですけど”心の盲腸”が残ってて、それが爆発したのが熱海前だったのかもしれないです(笑)。

自分を自分のテーブルにつかせて対話してみる

――これから「価値観のアップデート」に取り組みたい人に伝えるとしたら、どんなことですか?

細かいところが気になりすぎて
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頑張ってるのに報われないとか、日頃のぐちゃぐちゃした感情が皆さんあると思います。だから「一回ゆっくり話しようや」っていうのを、悩んでる部下に対してじゃなくて、自分に対してしてみる。自分を自分のテーブルにつかせて、対話してみる。これはいいデトックスになります。

1泊2日でコンパクトにまとめちゃうのがおすすめです。加えて、近場がいい。僕も最初は遠出しようと思ったんですけど、結果的に熱海はちょうどよかったですね。泊まって次の日、帰りが長いなーとかもなく、午前中でさくっと帰れますから。何なら午後から働けます。

皆さん忙しいと思うんですけど、ご家族に話して時間もらって、ぜひ出かけてみてください。翌日からすっきり、ご機嫌に働けますよ。

ディレクション:桑島圭佑、撮影:長良将史、照明:高木陽春、編集:橋本真吾
長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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