退職者による「企業秘密」漏えいを防ぐ4つの方策 「秘密保持契約」を形骸化させてはいけない
「企業秘密」の多くがデジタルデータ化している今日では、退職の意向を示した者がデジタルデータにアクセスできないように技術を駆使することが不可欠です。たとえば、
などです。
「法的対応」をとる際の留意点
退職者が「企業秘密」を不正に持ち出して転職先などで使用した場合、持ち出された企業は、退職者や転職先企業に対して損害賠償請求や差止請求をします。訴訟まで至らずとも警告書を送る場合もあるでしょう。
退職者が、退職後の秘密保持契約を結んでいるときは、こうした動きの法的根拠は秘密保持契約違反(守秘義務違反)と、不正競争防止法違反(営業秘密侵害行為)です。退職後の秘密保持契約を結んでいないときは、不正競争防止法違反が法的根拠になります。
ただし、不正競争防止法が損害賠償や差止めを認めているのは「営業秘密」が侵害された場合に限られます。そして、「営業秘密」は①非公知性、②有用性、③秘密管理性という3つの要件を満たしたものに限定されます。
企業が「企業秘密」として保護したいと考えている情報であっても、3つの要件を満たしていないときには、不正競争防止法では保護されません。そのために、日頃から、(1)~(4)で説明した内容を意識した秘密管理を徹底しておくことが必要です。
アサミ経営法律事務所代表弁護士。(株)APT、(株)ドラEVER社外監査役。1997年早稲田大学法学部卒業、2000年弁護士登録(第二東京弁護士会)、2009年アサミ経営法律事務所設立。企業危機管理・リスクマネジメントを中心に、会社法・株主総会・情報セキュリティ(企業秘密・個人情報)・危機管理広報など企業法務全般に取り組んでいる。著書に『判例法理・株主総会決議取消訴訟』(中央経済社、共著)ほか、記事執筆、メディア出演多数。
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