「ミスをした部下」の成長を促す"叱り方"のキモ ポイントは「3つのモード」の上手な使い分け

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特に、スタッフの誰かが仕事上での悩みを抱え込んでいるのを見つけると、敢えて私から先に「自分はこれができない」と言うようにしています。

「私ができないんだから誰かやれよ」という意図ではありませんよ。スタッフに対して、「できなくて困っている。助けてほしい」と素直に言える場をつくってあげるためです。

スタッフのことは誰よりも見ている。だから……

『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(鈴木忠平著、文藝春秋)というノンフィクション作品があります。その中で、落合監督は中日担当記者だった鈴木氏に、練習中のグラウンドでこう話しかけます。

「ここから毎日バッターを見ててみな。同じ場所から、同じ人間を見るんだ。それを毎日続けてはじめて、昨日と今日、そのバッターがどう違うのか、わかるはずだ。そうしたら、俺に話なんか訊かなくても記事が書けるじゃねえか」

これは、監督からコメントをもらわなくては記事が書けないと嘆く記者たちへの、落合監督からの貴重なメッセージでした。私は、バッターを「スタッフ」に、記事を「アドバイス」と変換した上で、この言葉を「人を育てるリーダーのための金言」として受け取りました。

私も、1人ひとりのスタッフのことは、ものすごくよく見ています。幹部で共有している「気づきメモ」もそうですし、一般スタッフに関しては、表情や態度、仕事のプロセスなどについて、日頃からその変化を注視しています。

誰よりも見ているという想いがあるから、何かあれば本気で叱れます。誰よりも見ているからこそ、幹部スタッフの昇格や降格も、本人が納得した形でできていると思っています。

たとえば、あるスタッフが降格することになったときには、なぜそうなったのかをしっかり説明した上で1回降りてもらい、「でもまた這い上がってこいよ」と伝えます。

その後、すぐに這い上がってくる人もいるし、しばらくくすぶってしまう人もいますが、そのままというわけではなくて、「あなた次第だよ」ときちんとフォローします。この失敗を良いチャンスと捉えて、足りないところがあれば補えばいいし、良いところはさらに伸ばして大きく成長してほしい――ということです。

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