「日本で下に見られても」ミャンマー人経営者の誇り 物件も借りられず融資もダメ…それでも日本で働く理由

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ミャンマーでは政治的にいつ何が起こるかわからず、法律も頻繁に変わるため、経営環境が急速に変化するのが日常です。そのため、生き残る企業ほど多角経営を行うことが一般的です。

こうした背景もあり、2人は「日本でもミャンマー人のわれわれには何が起こるかわからない。だからこそ事業を多角化し、リスクに備える必要がある」と考えるようになりました。

また、ミャンマーでは日本のように銀行から融資を受けることが難しい環境で育ったため、「自分の力で何とかする」という姿勢が自然と身に付いたことも影響しているようです。

「コロナには感謝しています。今でも、外国人だからという理由で、銀行から融資を受ける難しさや、物件を借りる際だけでなく、日常生活でも見下されることが多いと感じます。それでも日本でもっと仕事をしたい、そして会社を大きくしたい」(ボボさん)

日本への帰化を考慮中

こうした思いから、ボボさんは日本への帰化を真剣に考えています。

「自分の居場所はミャンマーではなく、日本だと思っています。日本の人々のために、ミャンマーの味や伝統が日本で交差する素晴らしい機会を、ミャンマー人としてどんどん作りたい」とボボさんは打ち明けます。

さらに、日本人に帰化したとしても、ミャンマー人としての誇りを忘れず、母国が大変な状況だからこそ、日本でミャンマー人をサポートしていきたいと考えています。たとえ日本語を話せないミャンマーの若者であっても、母国に残る親たちが安心して働けるような店や職場を、一つでも多く作りたいという思いを胸に、行動していきたいと語ります。

最近、日本テレビの「王様のブランチ」に出演したことをきっかけに、番組を見た日本人のお客さまが増えています。食に関するメディアでも紹介され、多くの注目を集めています。

2024年7月には、ミャンマー風の焼き鳥バーベキュー店「ズ アンド ヘイン バーベキュー ハウス」を池袋に新たにオープンさせました。

現在はまだ試行錯誤の段階ですが、既存の焼き鳥店とは一味違う、ミャンマー風の少しスパイシーな味付けが特徴です。この新店舗は、わずか1カ月という短い発案期間で実現した、挑戦的なプロジェクトでもあります。

テテさんによれば、「ボボさんはいつも考えていて、思いついたらすぐ行動に移すタイプ」であり、彼女自身は「じっくり考えて実行に移すタイプ」だそうです。ボボさんは、「テテさんがいて初めて事業がうまくいく。テテさんには感謝しかありません」と語ります。

夫婦それぞれの性格や役割分担が絶妙なバランスを生み出し、それが事業を円滑に進める原動力となっているようです。

「日本でやりたいことは無限大だ!」と語る2人。やりたいことを次々と形にしていく2人は、今日もノンストップで走り続けています。

西垣 充 ジェイサット(J-SAT)代表

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にしがき みつる

ミャンマー専門コンサルティング会社「ジェイサット(J-SAT)」代表。大手経営コンサルティング会社から、1996年4月に日系企業のヤンゴン事務所に転職。98年に独立し、同地にてJ-SATを設立。企業のミャンマー進出支援やミャンマーでは最難関の日本語学校を運営、ミャンマー人エンジニアや日本語が話せる技能実習生・特定技能生派遣など、一貫してヤンゴンに常駐してビジネスを行う。

ジェトロ・プラットフォームコーディネーターや大阪府ビジネスサポートデスク、福岡アジアビジネスセンターなど公的機関のアドバイザーも務めるミャンマー支援の第一人者。

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