子どもの遊びに必要な「主体性」と「無意味性」 目的がないからこそ身に付く能力

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為末:まずは親御さんが、興味を持って外に出かけることが大事だと思います。子どもをどうやって外で遊ばせるかの前に、まずはどうやって自分が外で遊ぼうかを考える。というのも、子どもだけを外で遊ばせるのはなかなかハードルが高くて。

キャンプに行くのでも、公園に出かけるのでもいいので、自分も子どもと一緒におもしろがれるものを見つけてほしいなと。

「遊ぶ時間」は「余暇の時間」?

窪田:親が楽しめば、子どもも自然に外に興味を持ちそうです。

為末:そう思います。自分1人だけでやろうとすると大変かもしれないので、親同士でうまく連携がとれるといいですよね。何家族かで集まって子どもを外に連れ出し、子どもたち同士で遊ばせるような。そうした状況がもっと作りやすくなると、外遊びも楽しくなるのではないかと。

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窪田:そのためにも、もっと子どもたちが自由に遊べる場所があるといいですよね。

為末:それと、子どもの遊び時間について意識を変えるとよいかもしれません。よく親御さんに言われるのが、遊ぶ時間を作るのが難しいということ。「遊びはあくまでも“余暇”の時間で、勉強やスポーツは“価値のある時間”」と思っている人も少なくありません。

でも長期的には、遊びによって得られるもののインパクトは非常に大きいと考えられています。

窪田:遊びによって得られるものとは?

為末:最近では、学力テストで数値化されるような「認知能力」に対して、忍耐性や協調性、コミュニケーション力といった「非認知能力」が注目されていますが、それを伸ばせるのが遊びなんです。

勉強やスポーツが短期的な目標を達成するためのプロジェクトだとすると、遊びは長期的なプロジェクトだと思います。

窪田:非認知能力は、これからの時代に必要な力だといわれていますよね。次回でも引き続き、遊びによって子どもが得られるものについて聞かせてください。

(構成:安藤梢)

窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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くぼた りょう / Ryo Kubota

慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。

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為末 大 元陸上選手

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ためすえ だい / Dai Tamesue

Deportare Partners代表。1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2024年12月現在)。現在はスポーツ事業を行うほか、アスリートとしての学びをまとめた近著『熟達論:人はいつまでも学び、成長できる』を通じて、人間の熟達について探求する。その他、主な著作は『Winning Alone』『諦める力』など。

 

 

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