シリア、独裁政権崩壊でも直面する「特大リスク」 アメリカ、ロシア、イランとの関係はどうなる?
しかし、8日にモスクワに到着したとロシア国営テレビが伝えたアサド大統領の退陣を祝うのは、1つのことだ。そして、シリアが13年前にムアンマル・カダフィ大佐が追放され殺害された後のリビアのように、別の種類のテロ国家や破綻国家にならないようにすることである。
アメリカのジョー・バイデン大統領は、8日の午後、ホワイトハウスのルーズヴェルトルームで、世界が直面している 「チャンスの瞬間」は同時に、「リスクと不確実性の瞬間でもある」と語った。
「アサド政権を倒した反体制派には、テロや人権侵害の悲惨な前科がある」とバイデン大統領。ゴラニのような指導者たちは「今は正しいことを言っているが、彼らがより大きな責任を負うようになれば、我々は彼らの言葉だけでなく行動も評価することになる」と述べた。
行動を評価するのはトランプ次期政権
しかし、その評価はトランプ政権に委ねられている。そして、アメリカが手を引かないことが最善の戦略だと主張するトランプ氏によるSNSへの投稿の意味が試されることになる。
トランプ氏にそのような余裕はないだろう。アメリカはシリア東部に900人の軍事力を有し、イスラム国グループを追い詰め、攻撃している。トランプ氏は第1期目、直感的に撤退することを望んでいたが、軍事顧問たちから、アメリカがシリアの拠点から撤退すれば、イスラム国勢力を封じ込め、打ち負かす努力を台無しにしかねないと説得されていた。
アサド大統領が逃亡した8日、アメリカはダマスカス陥落とは関係ないと当局者が語った対テロ活動において、イスラム国勢力の戦闘員の集まりを標的とし、爆弾やミサイルを投下した。政権高官は同日、記者団に「重要な攻撃」だったと語った。