「まるで陣痛のよう」40代女性を襲った腹痛の正体 20代から婦人科系の病に悩まされていたという

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ただし、卵巣はねじれたり戻ったりを繰り返すので、壊死に至るケースは実際には少ない。

「画像検査で壊死が認められなければ、痛みを止める処置を行ってひとまずは終了」だそうだ。そして翌日以降、婦人科での手術が行われる。かおりさんはこのケースだった可能性が高い。

定期的な検査が重要な理由

菊池医師によれば、緊急手術だった場合、手術の難易度は上がる。

「緊急手術は予定手術と違い、患者さんの胃に食べ物が入っていることもある。その場合、窒息などのリスクが高まるので、それらの対策などを含めた術中管理が必要となるためです」(菊池医師)

したがって緊急手術にならないよう、チョコレート嚢胞があると診断されたら、定期検診で病状をしっかり理解しておくことが大事だという。

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かおりさんのように突然、痛みが起こることもあるが、自身の病気についてわかっていれば、救急車を呼び、通院先の病院に搬送を依頼するなど、適切な処置を取ることができる。

チョコレート嚢胞の手術では、嚢胞だけを摘出して、卵巣を残すのが一般的。ただし、チョコレート嚢胞のなかにはがん化(卵巣がん)のリスクをともなうものもあり、危惧される場合(1%以下)は卵巣ごと摘出する手術になる。

疑問点などを主治医に聞いたうえで、最良の治療を選択してほしい。

菊池 大和 きくち総合診療クリニック

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きくちやまと / Yamato Kikuchi

2004年、福島県立医科大学医学部卒。浜松医科大学附属病院にて初期研修医。磐田市立総合病院外科、国立がんセンター東病院呼吸器外科、湘南東部総合病院外科科長・救急センター長、座間総合病院総合診療科などを経て2017年、土日も診療を行う総合診療クリニックであるきくち総合診療クリニックを開業。小児から高齢者まで、救急医療も行い、あらゆる症状を診る「総合診療クリニック」が全国に広がることを目指し、啓発活動にも積極的に取り組んでいる。

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狩生 聖子 医療ライター

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かりゅう きよこ / Kiyoko Karyu

1966年神奈川県生まれ。立教大学経済学部卒。OA機器商社に勤務しながら週刊誌での執筆を始め、フリーランスライターとして独立。現在は健康分野(健康、医療、医学部教育など)を中心に書籍の企画・編集、取材、執筆をしている。著書に「ぐっすり眠る!37の方法」 (宝島社新書)など。

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