「若返った日本人」雇用の質という経済界の課題 高齢社会対策大綱が示した新高齢期像と論点
日本老年学会・日本老年医学会は、2013 年から高齢者の定義を再検討する合同WG を立ち上げて、分析を行ってきた。そして2017年WG報告書では、高齢者75歳定義を提言している。
こうした一連の活動を行ったWG の座長、大内尉義東大医学部名誉教授は、2017年に次の文章を書かれていた。
日本人はすでに、75歳からを高齢者と呼ぶべきところまで、若返ったのである。そうした若返った日本人が排除されない社会の構築を、社会経済制度の設計者側にいる者たちは考えていく。
決して、社会保障や財政、労働政策などの制度の設計者側からは、若返りや、健康寿命の延伸の必要性などは口にしない。そうしたメッセージを持っているのが、今回の第5次高齢社会対策大綱である。
「健康寿命」という言葉の扱いに注意しよう
健康寿命という言葉がある。第4次高齢社会対策大綱では、「健康寿命の延伸」という言葉が何度か使われ、数値目標も「2歳以上延伸(2025 年)」などと掲げられていた。しかし第5次大綱では、参照指標には入っているが、本論には健康寿命という言葉そのものがない。なぜか。
先に述べたように、高齢社会対策大綱は、その前に開かれる検討会で案が作られる。そしてその後、各府省をはじめ、関係者との折衝の中で文言の筆削補訂が進められて、閣議決定に至ることになる。検討会の案には健康寿命について次があった。
私が欠席をしていた第1回の会議では、次のような発言がなされていた。
どういうことだろうか。
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