「年金50万円の壁」見直しで高齢社員の立場が激変 役職定年制やシニア社員制度は廃止の方向へ?
厚生労働省は、在職老齢年金制度の見直しを進めています。在職老齢年金制度とは、一定以上の給与がある高齢者の厚生年金の支給額を減らす仕組みで、この減額措置を緩和・廃止しようというものです。今回は、制度見直しの影響について考えてみましょう。
「年金50万円の壁」がなくなる!?
現在の在職老齢年金制度では、給与と厚生年金の合計月額が50万円を超えると、年金の一部または全部が支給停止(減額)になります。「50万円の壁」ともいわれるとおり、基準を超えて働くと年金が減ってしまうので、高齢者が働き控えをすることがあります。
今回、厚生労働省は、①基準額を62万円に引き上げ、②71万円に引き上げ、③制度廃止の3案を提示しています。「50万円の壁」を緩和あるいは撤廃しようということです。
現在、支給停止の対象になっている高齢者が約50万人います。制度の改正あるいは廃止で、これまで働き控えをしていた高齢者の労働参加が増え、深刻化している労働者不足が緩和されると期待されます。
ただし、働く高齢者への年金支給が増えると、年金財政が圧迫されます。厚生労働省の試算によると、各案による年金受給者数と支給額の増加は、以下の表の通りです。
増える年金の財源をどのように確保するかは今後の検討課題ですが、場合によっては将来世代の給付水準が低下してしまうかもしれません。
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