「若返った日本人」雇用の質という経済界の課題 高齢社会対策大綱が示した新高齢期像と論点

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前回の第4次大綱は、2018年2月に閣議決定されている。そこには、「65 歳以上を一律に『高齢者』と見る一般的な傾向は、現状に照らせばもはや、現実的なものではなくなりつつある」という文章があった。その論拠として、前年に出された2017年WG報告書が挙げられていた。

そして今年の第5次高齢社会対策大綱では、6年前の第4次大綱の「現実的なものではなくなりつつある」という文章が一歩進み、「65歳以上を一律に捉えることは現実的ではない」と言い切っている。

今回の第5次大綱は、「医学的にも、様々な科学的根拠を基に高齢者の体力的な若返りが指摘されて久しい。・・・高齢者の体力的な若返り等を踏まえ、年齢に関わらず、それぞれの意欲や能力に応じて、経済社会における様々な活動に参画する多様な機会を確保し、その能力を十分に発揮できる環境を創っていく重要性がますます高まっている」と論じている。

つまり、若返った日本人を、排除することなくしっかりと包摂する社会をどう作るか、これこそが課題なんだと、高齢社会の目指すべきあり方を示している。

そしてその一歩として、「高齢期においても希望に応じて経験や知見を活かして活躍できるよう雇用の質を高め、各世代がやりがいを持って働くことのできる環境を整備する」ことの重要性を強調している。この文章にある「雇用の質」のあたりは、内閣府で作成した大綱案の方が文字を多く使っているので紹介しておこう。

制度面では、2013年に高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)に基づく65歳までの雇用確保措置が義務化され、・・・65歳までの雇用確保措置については、ほぼ全ての企業で実施済みとなったものの、取組の内容には企業によって濃淡があり、高齢期においても経験や知見を活かして活躍できるよう雇用の質を高めるとともに、各世代がやりがいを持って働くことのできる環境を整備していくことが課題である。

つまりは、60歳から65歳までの雇用はほぼすべての企業で実施済みなのであるが、それは賃金をはじめ、待遇が低い継続雇用制度、再雇用が中心であり、雇用の質には改善の余地が大いにある。そこで、第5次大綱は、65歳までの「雇用の質」を高める提言を行っているのである。

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