「若返った日本人」雇用の質という経済界の課題 高齢社会対策大綱が示した新高齢期像と論点

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高齢社会対策大綱は、政策アリーナでは社会保障や労働政策の目指すべきあり方に強い影響を与えるものであり、それゆえに第5次高齢社会対策大綱では健康寿命という言葉を政策指標とするのではなく、慎重に参照指標にするにとどめているのであろう。

日本老年学会・日本老年医学会の報告書では、若返らせ方には触れられていない。そうした方法は、医療関係者をはじめ、みんなよくわからないのである。

そして75歳からを高齢者と呼ぼうと老年学会・老年医学会が提言するほどに、日本人は若返ったという事実のみがあるわけで、年齢で人を区別せず、若返った日本人をしっかりと包摂する社会を作っていくのが日本の目指すべきあり方としよう。そうした希望のある明るい目標を掲げているのが、第5次高齢社会対策大綱なのだろうと思っている。

一応、年金の支給開始年齢について

こういう話は、すぐに支給開始年齢の引上げに利用されるゾ!っという話で炎上するのが常で、2017年の日本老年学会・老年医学会WGによる75歳高齢者提言の後も、いつもながらの批判が盛り上がりを見せていた。

ということで最後に、「いわゆる「支給開始年齢の引上げ」が将来において行われる可能性は、実はこの国ではないのである」と書いた文章を紹介しておく。

なお、この文章は2018年に書いており、その頃は、繰下げ受給の上限は70歳であった。その後2022年4月に75歳に引き上げられ、今のこの国の公的年金保険は、75歳まで受給開始年齢自由選択制となっている。

年金を75歳までもらえなくなるって本当? 日本は受給開始年齢を自由に選択できる制度
 

権丈 善一 慶應義塾大学商学部教授

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けんじょう よしかず / Yoshikazu Kenjoh

1962年生まれ。2002年から現職。社会保障審議会、社会保障国民会議、社会保障制度改革国民会議委員、社会保障の教育推進に関する検討会座長などを歴任。著書に『再分配政策の政治経済学』シリーズ(1~7)、『ちょっと気になる社会保障 増補版』、『ちょっと気になる医療と介護 増補版』など。

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