朝ドラ「おむすび」をそれでも私が見続ける理由 大阪制作としてのコメディとリアリティを

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橋本環奈は、日本テレビ『今日から俺は』(2018年)で見せたヤンキー姿、惚れ惚れとするような見事な快演(ある意味「怪演」)が忘れられない。あのドラマで消費したコミカル運動神経を10点とすれば、『おむすび』では5点に満たないのではないか。

その上で、天下のキムラ緑子である。『ちりとてちん』、『ごちそうさん』(2013年)での見事な演技。こちらは、藤山直美と並ぶ「大阪制作朝ドラ」の女王だ。

それが今のところ(執筆時点=12月2日放送分まで)、11月21日放送分、ヘアサロンヨネダで顔全体にパックを貼ったシーンぐらいしか、笑いを任されたシーンがなかったのではないか。何という無駄遣いだろう。

「仲里依紗、橋本環奈、キムラ緑子」、このトライアングルで、ドタバタガヤガヤピョンピョンとコミカルなシーンを連発してほしい。それはNHKにはぴったりのはずである。なぜなら3人の頭文字を並べれば……。

リアルな関西臭がクレンジングされている

2つ目は「もっとリアリティを」という期待だ。『舞いあがれ!』(2022年)もそうだったが、最近の大阪制作朝ドラの現代物は、リアルな関西臭がクレンジングされている気がする。昆布だしと薄口醤油の香りを、せめてもう少し立ち込めさせるべきなのではないか。

まず阪神・淡路大震災に関するリアリティという意味で、今回感心したのは10月28日放送、避難所でおむすびを渡す役を演じた安藤千代子の登場シーンである。自身も被災者で「震災の語り部」としても活動する安藤は『NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 おむすび Part1』(NHK出版)で、こう語っている。

――実際に被災し、避難所で暮らした経験のある私だからこそ、セリフに込められる思いがあるのではと、使命感を持って演じました。撮影のときは、当時の情景や思いがよみがえり、あふれてくる涙を抑えるのに必死でしたね。この作品が、地震について考え、備えるきっかけになればと願っています。

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