ワタミの「サブウェイ買収」に見る居酒屋の"衰退" コロナを経て、飲み会はすっかり過去の文化に?

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フードアナリストの三上成文は2015年時点で、この影響が少なからずワタミの客足に影響しているだろうと指摘していたが(今のやり方を続けると、ワタミの浮上はない  「大量閉鎖85店上乗せ」を招いた真因)、そこにきて2008年以降の価格競争で大きく体力を削られたこともあり、2015年には飲食事業全体の約15%にあたる102店舗の撤退を決定。

こうした外食事業の業績不振もあり、2015年、稼ぎ頭であった介護事業をSOMPOホールディングスに売却した。

さらにその騒動がひと段落したと思った2020年にはコロナ禍が来る。当然、コロナ禍の影響を直で受けて同社の売上高は大幅に下落。2021年3月期の営業損益は97億円もの赤字となっている。

コロナ禍以後も厳しい居酒屋チェーン

さらに厳しいのは、コロナ禍が明けても居酒屋需要がかつてより戻らないことだ。

日本ソフト販売株式会社によれば、居酒屋・バー全体の2023年から2024年の店舗数推移を見ると、7.1%の減少。数にして522店舗の大きな減少となっている。2023年はコロナ禍が明け、本格的に人流が回復した年であったが、それでも居酒屋には人が戻っていないのである。

ただ、面白いデータもある。帝国データバンクが発表している「酒場DI」は「お酒にまつわる場所の景気」を示すデータだが、これによれば、「酒場DI」は2023年に入って、コロナ禍前を超える水準に回復したという。

にもかかわらず居酒屋が衰退しているのは、それ以外のファミレスなどのチェーンにおける飲酒需要が盛り上がっており、逆にそれだけ居酒屋という業態自体が斜陽化を迎えているともいえるかもしれない。

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その理由は私たちの生活スタイルを鑑みればわかるだろう。リモートワークの普及で出社しない日も増え、それに伴って会社での飲み会も減少。まして、大規模な宴会も行われることが少なくなった。

その代わり、少人数や個人でちょっとだけ飲む、といった行動が増え、大きな宴会を頼みの綱の1つにしていた居酒屋チェーンにとっては、大きな逆風が吹いている。

日高屋を運営するハイデイ日高の好調が続いていることや、主力のファミレス業態で店舗数が漸減傾向にあるなかで「バーミヤン」の店舗数をすかいらーくがじわじわと増やしていることも、「ちょい飲み」「ひとり飲み」「少人数飲み」の増加の結果だろう。

では、そんなワタミによるサブウェイの買収は、吉と出るのだろうか。続く後編ーサブウェイ「ワタミによる買収」が納得しかない訳 「体験型飲食」として実は高いポテンシャルがあるーでは、サブウェイの業態としての強さ、拡大のポテンシャルについて、「体験型消費」という観点から探っていきたい。

サブウェイ
ワタミによる、サブウェイの買収は吉と出るのだろうか? 後編で細かく分析していこう(筆者撮影)
谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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