障害者「農園就労」大手エスプールが批判に答えた 「雇用率を金で売る代行ビジネス」との非難も

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――とは言っても、農園での就労は障害者のキャリアアップにならないのでは?

障害の程度によって能力開発のフェーズは全然違う。コミュニケーションを上手に取れなかった人があいさつする。引きこもってゲームばかりしていた人が毎日出勤する。農作業を通して見られる、こうした変化もすごい「キャリアアップ」ではないか。

そのまま農家に転身したり、企業側に誘われて本社勤務になったりする例もある。ただ、知的障害者の中には、安定して農園で働き続けたいという人も多い。健常者の誰もが管理職への昇進を望むわけではないのと同様に、障害者雇用でも当事者の意思を踏まえてキャリアを論じるべきだ。

「丸投げしたい」企業とは契約しない

――農園の利用企業は「雇用率を金で買っている」とも指摘されます。

お金は払うので障害者雇用を丸投げしたい、という話が来ないわけではない。ただ、当社はそういう相手とはいっさい契約しない。創業時からのポリシーだ。まだ赤字だったころ、喉から手が出るほど受注が欲しくても、これだけは貫いてきた。

雇用率の達成を主目的にすると、現場の障害者は放置される。雇用管理の問題になりかねないし、コンプライアンス的にもまずい。農園就労の本質は、長期間にわたり障害者に安心して働いてもらうこと。だから、農業を通して本気で雇う意思のある会社にだけ、貸し出している。

エスプールプラス和田社長
エスプールプラスの和田一紀社長。1996年にリクルート入社。アメリカ企業への経営参画を経て2011年にエスプールプラスの事業責任者へ就任。2016年より現職(記者撮影)

――いわゆる「エスプール・ショック」の引き金となった記事では、障害者雇用の「企業負担を100%軽減」と記載されたエスプールの営業資料が示されていました。

その資料は、顧客企業の人事部向けに作った企画書だ。「100%軽減」は人材発掘に関わる負担の軽減を指している。当社は農園で働きたい障害者を募集し、企業側に紹介している。採用までのサポート体制を示した記述にすぎない。

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