危機の中で〈ケインズ〉から学ぶ ケインズ学会編
20世紀最高の経済学者とたたえられるJ・M・ケインズにあらためて多面的にスポットライトを当てた書。リーマンショック後の世界経済危機は、同時に現代資本主義の理論的な支柱であるマクロ経済学も揺るがし、その理論に原点回帰を迫っているようだ。
個別の議論では、「ケインズと今日性」「ケインズと新自由主義」と題され、彷徨の資本主義の方向性や市場と国家のベストミックスを探ったものが含蓄深いが、日本においての最大の関心は現時点での「デフレ不況」への処方箋ではないか。その点では、経済学者3人による「かみ合わない議論」が現状理解を端的に表しているといえようか。
ケインズは著作も多く、ケインズ自身の関心領域も幅広い。全30巻のマクミラン版全集が刊行されているものの、それに基づいた研究に日本は出遅れている。2011年5月の「ケインズ学会」(本書の編者)の発足を契機に、新たな研究に進んでほしいものだ。
作品社 2310円
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら