グーグルがChromeを売却したらどうなるのか ブラウザー市場シェア6割超、150億ドル規模の再編へ
インターネット上のアクセス動向を解析しているウェブサイトStatcounterが毎月発表しているウェブブラウザーの最新のシェアにおいて、Chromeブラウザーは2012年からずっと首位を維持し続けており、そのシェアは実に60%を超えている。

また、グーグルがスマートフォン用に開発したAndroid OSや、Chromebookと呼ばれる安価なノートパソコンに搭載されているChrome OSでは、標準のブラウザーとしてChromeが搭載されているため、これらのデバイスを使っている人は意識せずともChromeを使っているはずだ。
Chromeの真の役割
グーグルにとってChromeブラウザーは、ただユーザーにウェブサイトを表示してみせるだけのものではない。ユーザーがインターネットで何かを調べるときに行う検索という行為を、グーグルのウェブ検索サービスに集めるという、重要な役割も担っている。
Chromeブラウザーは、ウェブサイトのアドレス(URL)を表示する場所が検索ワードの入力欄にもなっており、ここに調べたい事柄に関する言葉をいくつか空白で区切って入力すれば、その検索ワードは自動的にグーグルのウェブ検索サービスで処理され、その結果をユーザーに表示する。

Chrome以外のブラウザーの多くでも、URL欄や備え付けの検索欄からウェブ検索ができる。しかし、そこで使用する検索サービスについては、マイクロソフトのBingやユーザーのプライバシー重視をうたっているDuckDuckGoなど、いくつかある候補のなかから、ユーザーが選んで設定することが可能になっている。
グーグルはアップルのiPhone / iPad / Macの標準ブラウザーであるSafariや、PCユーザーに知名度の高いFirefoxといったブラウザーの標準検索エンジンにもなっている。これは、グーグルが合計数十億ドルともいわれる金額を、アップルやFirefoxの開発元であるMozilla財団に支払い、その権利を購入しているからだ。
グーグルがChromeブラウザーだけでなく、社外製ブラウザーでも標準の検索エンジンになれば、その分グーグルにユーザーに関するさまざまな情報が集まる。例えばユーザーがアクセスしてきたIPアドレスからは、そのユーザーの所在地がどこかで(大まかに)どんなインターネットプロバイダーを利用しているのかがわかる。
また、検索用として入力された文言や内容を分析すれば、ユーザーの性別やおおよその年齢、趣味嗜好、収入レベルなども推測可能だ。さらには、ある検索ワードに関して表示した検索結果の一覧から、どのリンクをユーザーが最も多く選んでいるかを追跡することで、世の中のトレンドを把握し検索結果の表示順を調整、さらなるアクセス増加につなげるといったことができる。
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