「老い」を制するとは「片づける」を習慣にすること 鞄の中が乱れると自律神経も乱れる

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③については、毎日1カ所だけ、と決めて、無理なくやること。そして暮らしの中に片づけの時間を組み込むことです。私は帰宅後、今日は10分だけ、と時間を決めて、毎日片づけています。

もはや1日の終わりの儀式のようなもので、そうすることで呼吸が整い、自律神経も整い、「さあ、これでまた明日から新しい1日がはじまるぞ」とモチベーションも上がってきます。1日たったの10分。この習慣ですべてがいい方向へ進みはじめます。

鞄の中が乱れると自律神経も乱れる

駅の自動改札の前で立ち止まって必死に鞄の中を探っている人、見かけたことはありませんか? 恐らく定期券かスイカを探しているのでしょう。名刺交換で相手が名刺を出しているのにこちらの名刺は出てこない、スマホに着信があって鳴っているのに取り出せない……日常生活のこういったイライラは枚挙にいとまがありません。「探す」「イライラする」という行為は、それだけで自律神経を乱します。

実は自律神経は一度乱れると3~4時間はもとに戻りません。例えば腹が立つことがあったとき。バーンと怒った後、それで急に怒りが消えるわけではないですよね。しばらくもやもやしたり、落ち込んだり、気持ちが乱れている間じゅう自律神経も乱れます。呼吸も乱れ、心拍数も乱れ、血流が悪くなり、集中力は低下し、判断力も鈍ります。日常生活に少なからず影響が出ます。

『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』(講談社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

そうなると、自然に落ち着いてくるのに3~4時間はかかります。人間の体はそういうふうにできています。ですから、これは余談ですが、できるだけ怒らないようにすることは、健康維持のためにはとても大事です。私はいつも、「怒りがわいたら、黙ってゆっくり呼吸しながら6秒待つ」ことをおすすめしています。5秒ではダメで、6秒。これが怒りをしずめるには必要な時間です。

話を戻しますが、スイカが取り出せず改札で立ち止まってしまうこと、名刺交換にまごつくこと、スマホを探すこと、これみんな、鞄の中がきちんと片づいていればいい話です。自律神経の視点からいうと、きちんと片づいた鞄を持つためには、まず鞄選びから。

私の考える自律神経を整える鞄の条件は、ポケットや仕切りがあるもの。ないなら小袋やポーチで中を整理するとよいと思います。また、肩掛けストラップがするする落ちたりするとストレスになります。持っているときのストレスのない形状のものを選ぶことも大切です。重すぎる素材もストレスになるのでおすすめできません。

鞄の中の整理も、使わないものは鞄から出し、必要なものは入れる場所を決めておく。「ひと目でわかる」「すぐに取り出せる」という状態をつくっておくことです。

小林 弘幸 順天堂大学医学部教授、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

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こばやし ひろゆき / Hiroyuki Kobayashi

1960年、埼玉県生まれ。87年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。『医者が考案した「長生きみそ汁」』、『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム刊)などの著書のほか、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)や「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBSテレビ)などメディア出演も多数。

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