オーケーの「大阪進出」に私が抱いた"一抹の不安" 安売り推しで通用するほど、関西人は甘くない?

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オーケーは近年、新しいタイプの出店場所に積極的な攻勢を仕掛けている。

2023年には銀座店をオープン。それまでは郊外を中心とした出店を行ってきただけに、この展開は驚きを持って受け止められた。その銀座店はきわめて好調で、先日私が訪れたときも多くの人でにぎわっていた。

特に周辺のオフィスに勤務するサラリーマンやOLのランチ需要、またインバウンド観光客向けの商品も展開しているため、それらの需要に応えている。

安売りスーパーの銀座出店は一見、突拍子もなく思えるが、オーケーのブランドを全国に知らしめる、という意味では明確な意図があったし、その名前は十分全国に知れ渡っただろう。

今回の関西出店にあたっても出店意図は明確で、とにかく「今後、関西でバチバチやっていきまっせ」というメッセージが、さまざまなところから伝わってくる。

その背景には苦い関西進出失敗の思い出がチラつくが、それをバネに、怒涛の勢いで関西に殴り込みをかけるのだ。私たちはいま、関西のスーパー勢力図が変わる、その1ページ目を目の当たりにしているのかもしれない。

そんななか、筆者が抱いた"一抹の不安"とは?

『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』書影
『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社新書)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

ちなみにだが、筆者の不安を最後に述べておくと、オーケーの成否は前述したEDLPという仕組みが、大阪の人たちに支持されるか、という部分にある気がしている。

オーケーを愛用している人たちは「オーケーに行けば、買い物総額が一番安くなる」と考えているが、これは特売スーパーが少なくなった地域の話であり、品物単位で見ると、もちろん特売スーパーのほうが安い。

また、特売というのは一種のイベントであり、その「空間」に行くことの楽しさもある。安いことは大阪の人々にとってももちろん魅力的だろうが、「それだけで攻略できるほど、甘くない」のもまた事実だろう。

オーケーVS万代の天下分け目の戦いは、こういったさまざまな観点から、語りうる出来事なのだ。

オーケーの外観
オーケーの今後に注目だ(編集部撮影)
谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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