オーケーの「大阪進出」に私が抱いた"一抹の不安" 安売り推しで通用するほど、関西人は甘くない?
オーケーの歴史は古く、1958年にまで遡る。酒の卸売り商店だった岡永商店の小売部門として独立したのが始まりだ。1号店は東京・上板橋に誕生し、「高品質・お買徳」を掲げながら徐々に勢力を拡大していった。
その後、1986年には「大改革」を実施。従来のスローガンに「Everyday Low Price(EDLP)」を付け加える。これは、通常のスーパーのように特売日を設けず、毎日同じ低価格で商品を供給するシステムで、アメリカの小売大手ウォルマートが採用していた仕組みである。オーケーはウォルマートにならってEDLPを取り入れ、同社の強みとしている。
EDLPに限らず、オーケーの安さへのこだわりは「執念」ともいえて、例えば「競合店対抗値下げ」なる制度は、ある商品が近隣のスーパーよりも高かった場合、それに合わせて値を下げるというものだ。「地域一番の安値」を実現すべく取り入れられた仕組みである。
また、オーケーの会員システムの「オーケークラブ」は、会員カード発行費用200円を払って自宅の郵便番号を申告すれば、入会金・年会費無料で現金払いの場合、酒類を除く食料品が3%近く割引される。入会の手軽さとお得さから、2023年3月時点で677万人の会員数を擁している。
上記のようなユニークかつコスパのよい取り組みもあって、オーケーは高い顧客満足度を有していたのだろう。
ただ、オーケーはこれまで、首都圏近縁を一周する国道16号線の内側を中心として出店を展開していて、関西では「噂は聞くけど近くにない……」という状態が続いていた。そのため、関西圏の住民にとってはある意味で「待ち望まれた」出店となったわけだ。
これが、「やっと私たちの街にも『あのオーケーが!』」というある種の熱狂状態を作ったのだろう。
失敗の経験が、関西初出店をドラマチックにした
2つ目は、これがオーケーにとって、2度目の関西進出チャレンジだったことだ。関西出店をめぐるドラマのような攻防があった。
オーケーは2021年、関西の地場スーパーである「関西スーパーマーケット」の買収計画を立てていた。しかしその直後、イズミヤや阪急百貨店の経営で知られるエイチ・ツー・オー リテイリングが関西スーパーと経営統合を行うことが決定。一方のオーケー側は、この経営統合が決まった臨時株主総会での議決に疑義があるとして、統合の差し止め処分を裁判所に訴え出る。
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