外資系ホテル第4波の特徴は「地方×安心価格」 シンガポール地盤のアスコットは5年で出店倍増へ
アスコットは、なぜ地方への出店を決めたのか。最高事業開発責任者のセレナ・リム氏は次のように説明する。
「当社のホテルに宿泊したゲストが、次は温泉やハイキングなどで地方へと行きたがっている。とても自然なことだ」
地方進出を進めるのはアスコットだけではない。今年4月にはフランスの大手ホテルチェーンであるアコーが、旧大和リゾート(現デスティネーション・リゾーツ&ホテルズ・マネジメント)から22軒のホテル運営を受託した。
その狙いについてアコーは、「訪日客はリピート率が高く、リピート客は地方や温泉、日本らしい体験に興味を持っている。22軒のホテルは世界遺産から近く景勝地などが多い。地方都市においてアコーの存在感を高め、訪日需要を獲得するための絶好の機会だと考えた」と説明する。
アコーの運営になって8カ月ほど経った。経営状況については、「ホテルによっては客室単価が倍以上になっており、稼働・単価ともに大きな成長をしている」という。
今は外資系ホテル出店の「第4波」
立教大学観光学部の沢柳知彦特任教授は、コロナ禍以降に「外資系ホテル出店の第4波」を迎えていると指摘する。その大きな特徴は地方進出、さらにホテルの多様化だ。
これまでの進出主体はホテルブランドでいうと、マリオットやヒルトン、フォーシーズンズホテルなど欧米の大手ホテルチェーンが軸だった。
それがコロナ禍以降は変わった。シンガポールのカペラやタイのデュシタニなど、日本ではなじみの薄かったブランドが進出してきている。
価格帯の幅も広がっている。1泊5万円を超えるような高級ホテルが中心だったのが、最近は1泊1万円台のホテルも増えつつある。
アコーの「グランドメルキュール」やマリオット系の「フォーポイント フレックス by シェラトン」などは、ホテルの所在地によっては1泊1万円台で宿泊できる。
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