急増する外国人訪日客に「おもてなし」が不要なワケ インバウンド急増に混乱する"現場のホンネ"

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外国人観光客向けの口コミサイトや旅行ブログを見ても、「スムーズなサービス」「快適な買い物体験」といったキーワードが、ポジティブな文脈で登場することが多い。

そして逆に、「丁寧なお辞儀や言葉づかい」や「過度な付き添い」は、どちらかというとネガティブな意見として登場する。過剰なおもてなしは、むしろマイナスになるケースがあるのだ。

むろん販売員が関与する場面を減らす代わりに、接客フローの効率化や自動化を進めることはマストだろう。商品案内を多言語化したり、セルフサービスを導入したりすることで、外国人客が自己完結できる仕組みを整えていく必要がある。

外国人客の接客で「欠かしてはならないもの」

ただシンプルでストレートな接客であっても、決して欠かしてはならないものがある。それは、「販売員の笑顔と歓迎の心」だ。

日本人は、未知の相手に対して不安や警戒心を抱きやすい傾向がある。そのため言葉が通じず、どんな要求をしてくるかわからない外国人客を前にすると、とたんに身構えてしまう人が少なくない。

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こうした心理状態に陥ると、重大な副作用が生じることがある。それは、相手を歓迎する心が失われてしまうことだ。結果として、表情がこわばり、口調もきつくなる。ただこれでは、接客における最も大切な基盤が崩れてしまうことになる。

海外では、販売員が客を客とも思わない態度をとる国が少なくない。そうした国では、お客様はただの取引相手としか見なされない。だから販売員が嫌な顔を見せず、つねに笑顔で親切に対応するだけでも、外国人客の満足度が上がることが多いのだ。

インバウンドが今後も拡大していく中で、私たちはいままでのおもてなしを再定義する必要がある。外国人客に対しては、シンプルかつ効率的な対応でも、相手の期待を上回ることは十分にできるはずだ。

千葉 祐大 人材コンサルタント/一般社団法人キャリアマネジメント研究所 代表理事

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ちば ゆうだい / Yudai Chiba

1970年生まれ。花王株式会社を経て、2006年に外国人材関連のコンサルタントとして独立。異文化対応に悩む経営者やビジネスパーソンに、外国人材のマネジメントを指導する研修コンサルティング業務を始める。現在はこの分野における第一人者の地歩を確立。全国にクライアントを抱え、企業研修、セミナー講師としても年間80回以上登壇している。最新刊に、『今日も異文化の壁と闘ってます 違いを越えて仲間になる!外国人材マネジメントのツボとコツ』(三笠書房、2024年11月発売)

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