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急増する外国人訪日客に「おもてなし」が不要なワケ インバウンド急増に混乱する"現場のホンネ"

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  • 千葉 祐大 人材コンサルタント/一般社団法人キャリアマネジメント研究所 代表理事
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ただ、それはあくまで将来の話だ。問題解決の時間軸が違う。まずは、いま目の前に押し寄せている外国人客に、現場のスタッフがどう対応していくべきか考える必要がある。

現状、対面販売のコミュニケーションにおいて、言葉の壁を解消するためにすぐにできる方法としては2つある。

1: 日本語以外の言語で対応できるスタッフを増やす
2: 多言語翻訳ツールを活用する

このうち1に関しては、「言語ができるスタッフを揃えられるなら、はなから苦労しない」(前出の男性談)というのが多くの現場の実情だろう。流通小売業では多くの企業が慢性的な人手不足に陥っている。言語が堪能な人材を、これから大幅に増やしていくのは現実的ではない。

とくに外国人スタッフの場合は、日本人以上に教育に時間がかかる点もネックとなる。日本特有のコミュニケーションスタイルやおもてなし文化を理解するまでに、ある程度の時間が必要だからだ。

外国人人材を小売業に派遣する会社を経営する知人に聞くと、「母国でどれだけ良いサービスを受けてきたか」で習熟のスピードがずいぶん違ってくるそうだ。

そして、「サービスレベルが日本と比較的近い東アジアの国と比べると、最近増えているネパールやフィリピン、ミャンマーといった国出身の人材は、育成に時間がかかることが多い」という。

インバウンド対策のために外国人スタッフを増やすというのは、そうたやすいことではないのだ。

日本ならではの「あいまいな言い方」がネック

現実的な方法は、やはり2の多言語翻訳ツールを活用することだろう。接客で使える安価なものとしては、Google翻訳やポケトークあたりが有名だ。

多言語翻訳ツールの活用については、簡単な情報を伝えるだけならこれで事足りるだろう。ただその精度には限界があり、込み入った内容や専門性の高い情報を伝える際には、まだ誤訳が生じる可能性がある。とくに接客の場面では、クロージングに至るまで客との間で押し引きのあるやり取りをする必要がある。

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【よくある「あいまいな表現」の例】

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