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急増する外国人訪日客に「おもてなし」が不要なワケ インバウンド急増に混乱する"現場のホンネ"

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  • 千葉 祐大 人材コンサルタント/一般社団法人キャリアマネジメント研究所 代表理事
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先述の女性の発言にもあったとおり、多言語翻訳ツールを使っても、普段と同じようには接客できないことが多い。

さらに付言すると、販売員は断定的な表現を避けたり、文脈で判断させる表現を使うクセがあるため、正しく翻訳されない場合がある。たとえば次のような表現が、その代表例だ。  

お客様:「ほかに似たような色で、もう少しフォーマルなコートってありますか?」
販売員:「そうですねえ、似たようなお色でフォーマルなコートですと、いま店内にあるものではちょっと……」

こういったあいまいな言い方をされると、さすがのAIも正しく翻訳できない。いまの段階では、多言語翻訳ツールを活用しても、日本的な接客のニュアンスを完全に再現するのは難しいのだ。

そもそも「おもてなし」を求めていない

ではどうしたらいいか。方向性として、私は過剰なおもてなしを見直すことがベターであると考える。

おもてなしにはいろいろな定義があるが、「相手のニーズを的確に把握して、期待を上回る対応をする」という説明で大きく間違っていないだろう。こうした対応は最小限にとどめ、できるだけシンプルでストレートな接客を心がけるのだ。

そもそもおもてなしを成立させるには、必要不可欠な前提がある。それは、相手のニーズを正しく把握していることだ。この点、相手と言葉や文化の壁がないスタッフが揃っているのなら、いまやっているおもてなしを追求していいかもしれない。

だが、一般的な日本人スタッフが、言葉が通じないうえにどんなニーズを持っているかわからない外国人客に、期待を上回る対応をするのは限界があるだろう。

また、そもそも外国人客は、必ずしも販売員におもてなしを求めているわけではない。

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【過剰なおもてなしは、むしろマイナスになるケースがある】

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