「父が孤独死の大豪邸」姉妹がカメラを入れた理由 遺体の状態によって、死の受け入れ方は変わる

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パニックになりそうだったので、父親と別居していた母に電話をして、一緒についてきてもらうことにした。

合鍵で玄関の扉を開けると中からチェーンがかけられていた。つまり、父親は部屋の中にいることになるが、いくら声をかけても返事はない。やはり中で亡くなっているのか……。

間もなくして到着したレスキュー隊がチェーンを破って室内に突入すると、父親は寝室のいすにもたれかかるようにして息絶えていた。

その後の死亡診断書によれば、父親が亡くなったのは発見の3日前だったという。発見当時、現場はどんな雰囲気だったのか。居合わせた次女に聞いた。

「自分たちでも勝手に入って行ってはいけないような緊迫した空気が漂っていて、レスキューの方たちについていくことはできませんでした。入る隙もなく、ここはプロの方々に任せたほうがよいと思い、玄関の外で祈るようにして待っていました」

ゴミ屋敷
腰を悪くしていた父親は、1階にあるリビングで主に生活していた(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

10部屋以上もある大きなお屋敷

実家にはもともと祖父母が2人で住んでいた。しかし、20年前、祖父が亡くなったことを機に父親は実家に戻った。腰が悪かった父親は1年前に手術を受けて長期間入院。そのタイミングで祖母には施設に入所してもらった。

現在97歳になる祖母はまだ元気に暮らしているものの、1人ではもう家に戻ることはできない。そうして祖母から託される形で、姉妹は祖母の生前整理と父親の遺品整理をイーブイに依頼することになった。

2階建ての一軒家は10部屋以上もある間取りで、周囲の家と比べても3倍ほどの大きさがある。築60年。長女は1歳までこの家で暮らしたというが、そのときの記憶はない。ただ、その後は姉妹で何度も遊びに行った家である。2人にとっては馴染みのある「おじいちゃんとおばあちゃんの家」だった。

ゴミ屋敷
祖父が生きていた頃、書斎として使われていた部屋(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
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