「父が孤独死の大豪邸」姉妹がカメラを入れた理由 遺体の状態によって、死の受け入れ方は変わる

✎ 1〜 ✎ 44 ✎ 45 ✎ 46 ✎ 47
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

大きなトラブルもなく、作業は予定通り日が暮れる前に完了した。すべての部屋が空っぽになった実家を前にしても、姉妹はやはり落ち着いていた。親の孤独死をすでに受け入れることができているようだ。

ゴミ屋敷連載
この連載の一覧はこちら

「父を発見した後は何から手を付けていいのかわからず、通帳のことや親戚への連絡など、とにかく手探りでした。父には事前にエンディングノートを渡していたんですが、何も書いてくれていなかったんです。

親も自分が急に死ぬことなんて想定して生きてはいないとは思うんですが、もしものことがあればすべて子どもが引き受けることになるので、やっぱり事前にその辺の話し合いができていたらよかったのかなと思いました」

ゴミ屋敷
何十年も手付かずだった物置部屋もまっさらな状態に(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
ゴミ屋敷
祖父が使っていた書斎もきれいに片付いた(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)

もし、1日でも発見が遅れていたら…

二見氏によれば、時期が6月であったこと、発見が死後3日と早かったこと、そしてエアコンと扇風機がついていたこと。これらの条件が揃ったことで、ギリギリ遺体の腐敗が進まなかったという。

もし、1日でも発見が遅れていたら、エアコンも扇風機も付いていなければ、体液が漏れ出し、目がくぼみ、眼球が落ち、家中が腐敗臭に包まれていたかもしれない。

「もしそうなっていたら、この姉妹も“なんでもっと早く連絡しなかったんだろう”と、一生後悔を抱えながら生き続けていたかもしれません」(二見氏)

一概に「孤独死」といえど、遺体の状態によってその死の受け入れ方は大きく変わってくるのである。

ゴミ屋敷
父親が最期にいた部屋も、何もなくなった(画像:「イーブイ片付けチャンネル」より)
【写真】「ここで父が亡くなったんです」父が遺した痕跡と、あまりに大きすぎる家の各部屋の様子(45枚)
國友 公司 ルポライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

くにとも こうじ / Kozi Kunitomo

1992年生まれ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライターとして活動。訳アリな人々との現地での交流を綴った著書『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)が文庫版も合わせて6万部を超えるロングセラーに。そのほかの著書に『ルポ路上生活』(KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事