大きなトラブルもなく、作業は予定通り日が暮れる前に完了した。すべての部屋が空っぽになった実家を前にしても、姉妹はやはり落ち着いていた。親の孤独死をすでに受け入れることができているようだ。
「父を発見した後は何から手を付けていいのかわからず、通帳のことや親戚への連絡など、とにかく手探りでした。父には事前にエンディングノートを渡していたんですが、何も書いてくれていなかったんです。
親も自分が急に死ぬことなんて想定して生きてはいないとは思うんですが、もしものことがあればすべて子どもが引き受けることになるので、やっぱり事前にその辺の話し合いができていたらよかったのかなと思いました」
もし、1日でも発見が遅れていたら…
二見氏によれば、時期が6月であったこと、発見が死後3日と早かったこと、そしてエアコンと扇風機がついていたこと。これらの条件が揃ったことで、ギリギリ遺体の腐敗が進まなかったという。
もし、1日でも発見が遅れていたら、エアコンも扇風機も付いていなければ、体液が漏れ出し、目がくぼみ、眼球が落ち、家中が腐敗臭に包まれていたかもしれない。
「もしそうなっていたら、この姉妹も“なんでもっと早く連絡しなかったんだろう”と、一生後悔を抱えながら生き続けていたかもしれません」(二見氏)
一概に「孤独死」といえど、遺体の状態によってその死の受け入れ方は大きく変わってくるのである。
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