先に述べたように父親は腰が悪かったため、晩年は1階にあるリビングと寝室だけで生活をしていた。2階にある洋室は祖父の書斎だった。祖父の死後は、壁紙を張り替えて今度は父親がしばらく書斎として使っていたという。
現場で作業にあたったスタッフは全部で10名。いつもの現場より人数を投入し、一気に片付けていく。あらかじめ姉妹が遺品を取り出してくれていたため、夕方4時には作業が完了する予定だ。
今まで「孤独死」に触れてこなかった理由
イーブイにとって孤独死は珍しい現場ではない。しかし、動画として配信した現場はほとんどなく、あえて触れないようにしてきた。その理由は、創業者である二見氏自身の経験にあった。
「僕がまだ10代だった頃、親父が駅のトイレで自殺しました。親父は離婚をした後に1人で事業をしていましたが、うまくいっていなかった。SOSを出していたことはわかっていたんですが、僕は気付かないフリをしていたんです。当時、プラプラしていた僕はそんな状況であることを知りながらも、ときどきお金を借りに行っていました」
父が自ら命を絶った駅に降りるたびに、二見氏は後悔の念に襲われる。
「親父は死ぬときどんな感じだったのか、どんな気持ちで死んでいったのか、本当は家族に囲まれて死にたかったんじゃないかと今でも考えますし、僕は死ぬまでこの後悔を抱えながら生きていくはずです。
僕と同じように孤独死の現場に立ち会った遺族の方々も、“なんで何もしてあげられなかったんだろう”と後悔していることが多いと思うんです。できれば、そういう気持ちを思い出してほしくない。だから、孤独死の現場は基本的に動画にしていないんです」
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